出るか?選挙を左右する壊滅的スキャンダル!

従業員1000人以上の規模の会社(同族企業ではありません)を経営している友人がいます。優れたリーダーシップと豊富な知識を併せ持っており、私が尊敬する経営者の一人です。

先般、彼に今回の選挙について訊ねたら以下のような回答が返ってきました。
「俺は小池さんが好きだ。ただ、内部留保課税は嫌だ」

私は思わず感心しました。
「情と理」もしくは「私と公」が一言に込められています。
「情として私人としては小池氏を支持する」が、「理屈として企業経営者としては内部留保課税という政策には反対だ」ということです。

では、多くの有権者はこの「情と理」を、どのように区別しているのでしょうか?
私は、多くの有権者は身近な「理」は斟酌しても、それ以外は「情」に流されて投票してしまうのではないかと危惧しています。

選挙前の各党や候補者の公約は、すべからく耳障りのいい甘言ばかりなので理性が鈍麻してしまうからです。
斟酌される身近な「理」は、各人各様です。

自衛隊員やその関係者の方々にとっては「自衛隊の憲法への明記」は身近な「理」でしょう。
ただ、多くの有権者にとって身近な「理」は消費税のアップか凍結という問題です。私だって、消費税アップを凍結してくれたほうが個人的には嬉しいです。過去の選挙で政権与党が消費税で辛酸を舐めてきたのは、多くの有権者が身近な「理」に流された結果でしょう。

「情」に流されて投票する契機はたくさんあります。
街頭で握手してもらったから投票するという人や、顔が好みだから投票するという人も案外少なくないと思います。昔の弔い合戦のように「同情票」というのも大いにアリです。

「情」で劣勢に立たされている陣営にとっての最も効果的な攻撃方法は、相手のイメージダウンを図る戦略です。
昨今なら、党首や候補者の過去の不倫などのスキャンダルを暴いたり、捏造することもあるかもしれません。
スキャンダルが最も効果を上げるのは、おそらく投票の前の週でしょう。弁解や反論の時間的余裕を与えず、投票でのインパクトが強いですから。

ということで、月曜日からの各種メディアの報道には個人的にとても関心を抱いています。
当然、各陣営とも、対メディア戦略として周到過ぎるくらい手を回していることでしょう。
既に握りつぶされているスキャンダルもあるのではないでしょうか?

それでも、壊滅的な「隠し玉」が出て来る可能性はゼロではありません。いささか悪趣味な楽しみですが、戦略論として考察するには絶好の機会だと思っています。

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年10月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。