「裏切られた」と言うの、もうやめません? --- 天野 信夫

期待を寄せていた政党や政治家だったのに、期待はずれで後悔した。私たちにはよくあることです。8年前の民主党政権がその典型でした。

今度の選挙で同じ過ちを繰り返さないために、私たちは何を基準に投票したらよいのでしょう。「あれもできる、これもできる」を主張する政党や政治家にはもう騙されません。そんなに何でもうまくいきっこないことは私たちも学習しました。

政策の是非で選びたいところですが、憲法改正も消費税も原発もあいにく本当のところはよく分かっていません。専門家でも意見が割れるものを、素人の私たちが十分に理解できるわけがないのです。なんとなく自分の意見だと思い込んでいる意見は、多分、属している集団か購読している新聞の意見でしょう。

政策で選べないなら人柄で選ぶという手もありますが、政治家の人柄なんて「なんとなく」しか分かりません。国民に不人気なこと負担を強いることを率直に語る政治家がまずは信用されますが、それとて安心はできません。国民に負担を強いて、その犠牲の上に特定の集団への利益を図ろうとしている場合だってあるかもしれないからです。

他党のことを離合集散だ野合だと、あきれたふり怒ったふりをしても、そんなのこれまでお互い様です。自分の立場や当選を考えない政治家はいない、という無理からぬ前提に立てば、真に国民や国家の将来を優先させる政党や政治家を探すのは、存外難しいことではないでしょうか。

私の結論です。憲法改正も消費税も原発も必死になって勉強して、どの政党の主張が真に国民や国家の利益になるのか自分なりの結論を出す。もしそういう勉強する暇がなければ、その政治家の人柄の善し悪しで判断する。それも無理なら、その政党の政策が自分個人の当面の利益に合致するかどうかで判断する。それもよく分からなければ、今度も「ふわ~っとしたムード」で投票する。そして選挙の後しばらくして、もしまた期待はずれの結果になったとしても、けっして「裏切られた」とは言わない。「また間違えた」と言う。

私たちは何度間違えても再び期待してしまう存在のようです。

天野 信夫
無職(元中学教師)