衆議院選、雑感:いつまでも若者や投票率のせいにするな

常見 陽平

まだ、完全に開票が終わっていないけど、選挙の雑感を徒然なるままに。・・・この写真だとまるで私が選挙に出たみたいだね。

選挙は、選挙である

友人が立候補したり、先輩の応援弁士をする貴重な機会もあり。選挙を間近で見ることができた。

それはそれで良かったのだが・・・。いや、それがあったからこそますます確信したのだが。

いつも書いていることだが、「選挙は、選挙だ」という言葉を今回も噛み締めたい。支持率、不支持率が大事なはずなのに、それ「だけ」では決まらない。支持母体、街頭での演説やビラ配り、電話掛け(その場面を見れたのは貴重だった)など、地道な努力で成り立っている。

さらには、批判の声も大きいが、制度の弊害というものもあり。「政権交代可能な二大政党制を目指せ」と言いつつも、結局、一強を作り出す要因に実際はなっていないか?

消極的な支持

「消極的な支持」というものもあり。自公の大勝に終わりそうだが、支持者も全面的に支持しているわけではないだろう。実際、アベノミクス支持者でも、成長戦略については疑問を持っていたり、さらには経済以外の分野では反対だったり。

その点、小泉進次郎は「森友・加計問題に関して現場でまだ納得していないと感じた」という趣旨のコメントをしており。この人が人気がある理由はよくわかった。ポーズかもしれないけどな。

安倍も嫌いだが、小池、前原、細野はもっと嫌いという人たち?

賛否はともかく、この時期の解散というのは、結果として自民党にとって有利にはたらいた。安倍は本当に運がいい。希望の党は出落ち。小池・・・細野・・・前原・・・。自分以上のヒールが出てきた感じ。スタッフにも恵まれなかったかも。でも、なんだかんだいって、当選するはずの人が通っている?風がふいたが、さらに台風がという。

政権交代しない野党にも存在意義はあるのではないか

石原慎太郎もTwitterで褒めていたが、枝野幸男は男をあげた。友人や先輩が立候補したこともあり、立憲民主党の演説会には可能な限り通った。もっとも、政権交代可能な野党ではなく、良いカウンターという感じ。私はそれでいいと思う。選挙のシステムなどを考えると、数の論理だけではなく、質の論理で政治を動かすというスタイルもアリだと考え。上手く与党にブレーキをかけること、野党の視点をねじ込むことを期待したい。

応援弁士をして見えた世界

応援弁士をさせて頂いた荒井さとし先輩が当選してホッと一息。「お前のようなクソサヨクが立憲民主党のイメージを下げている」というご批判も頂いていたので。講演と講義は違うといつも悩んでいるけど、演説もまた違う。まあ、賛否あると思うし、いっぱいアンチも増えたと思うし、母からも仕事減るぞと言われたが、立憲民主党の応援をし、選挙カーに乗ったからこそ見えた世界に感謝している。

若者のせいに、するなよ

「若年層の投票率アップが課題」というテンプレ、やめて欲しい。若者は忙しいのだ。教え子たちもバイトなど学生生活のために期日前投票に行っていた。若者のせいにするなよ。政治に関心を持つには時間がかかる。

この「投票率アップが課題」って、たしかに投票率がアップしたら対自民のブレーキになることを期待して言われている部分があるかと思うが、アップしたところで、ますます自民党が強くなった瞬間、絶望に変わる。

この時期に、親子で乗ったタクシーの運転手が、政治というか、社会運動に詳しい人で。日本の右翼、左翼の歴史を最寄り駅~実家の往復でレクチャーされるという。高卒でずっと働いているそうだが、こういう勉強熱心な市民に感動しつつ。彼も解説していたが、「若者は自民党が好きなんだよ。安心したいから」と吐き捨てるように語ったのが、印象的だった。

「若者が政治に関心がない」というのは、どの部分を言って決めつけているのか。そして、不安であるがゆえに、実態についての検証はともかく、強そうな安倍、自民を選んでしまうのでは。

あと、他国の投票率って、高いんだったっけ?「投票率が低い」という論者にはぜひ教えて頂きたい。

改憲と言ってもね

選挙が終わったが、争点(?)だった点については今後も議論は盛り上がるだろう。いや、盛り上げなくてはいけない。特に「改憲」についても、何をどう、どこまで改憲するのか。「改憲勢力」も一枚岩ではないはずだ。議論することが必要。

現状の選挙制度のもとで2/3以上の支持を得ることと、国民投票で過半数の支持を得ることは話は別。

保守、リベラルを手放そう

保守、リベラルという言葉をもう手放そう。右派、左派も。この奇妙な対立軸のねじれを整理していかなくてはならない。

考えること、議論することがますます大事だと実感。

あくまで市民の雑記として読んでもらいたいが、こんな感じで。選挙カーの上に乗ったからこそ見えた世界には感謝しているよ。ますます政治家にはなりたくないと思ったが、権力を監視すること、大きなもの、流れにのりがちな中で第二、第三の視点を加えること、社会に自由な気風を保つために頑張るよ。まずは目の前の仕事から。

・・・しかし、豊田真由子の「このハゲー!」が何度も流されて、薄毛の人にとって辛い選挙期間だったと思う。山尾志桜里さん、選挙スローガンそのまま「立ち向かう。」をやりきってよかった。高校の先輩、2人の当選をお祝いしつつ。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年10月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。