古教心を照らす

株式会社経済界より『古教心を照らす』という本を上梓しました。明日25日より全国書店にて発売が開始されます。本書は10年前の4月より書き続けているブログ「北尾吉孝日記」の再構成として、08年9月出版の第1巻『時局を洞察する』から数えて丁度10巻目に当たります。

今回は、本書のタイトルを『古教心を照らす』としました。このタイトルは、虎関禅師の言葉「古教照心 心照古教」から採ったものです。本の読み方としては、「心照古教」の境地に達することが良いとされています。つまり、自分が主体的に考えながら読むわけです。そうかそうかと受動的な読み方(「古教照心」)では、活きた力にはならないのです。

この十年、ブログ本の形で毎年一冊ずつ上梓してきたわけですが、そのブログ本の内容を見ると私の物の見方や考え方が如何に「古教」、とりわけ中国古典から学んだことに大きな影響を受けているかと自分でもびっくりします。そういうことからすると若い時に中国古典を中心とした書を読み、知識を吸収してきたことで、心が照らされてきたのだと思います。

ただ、四十代以降になると同じ中国古典を読んでもより主体的に読めるようにもなり、自分の心が書物の方を照らす(「心照古教」)とまでは行かなくても、「心」と「書物」が一つになって来るような読書になってきたようにも思います。

『孟子』に「尽く書を信ずれば即ち書無きに如かず」とありますが、書物に書いてあることを全部そのまま信じてしまうのではなく、ますます批判的にかつ「自分ならこうだ」という形で主体的に読書をするようになりました。私としては、私の読書が進化してきたと考えています。

私の拙いブログ本の読者の皆様も是非主体的にお読みになり、もし得るところが有れば、活きた学問として(と言えば大袈裟ですが)血肉化し皆様方の実際の日常生活の中でそれが行動に移されるようになれば私としては望外の喜びです。本書が読者の皆様の日々の修養の一助となれば、幸甚であります。

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