2049年、カリフォルニア。従順なレプリカント(人造人間)が労働力として製造され、人間社会と危うい共存関係を保っていた。旧型の違法レプリカントを追うLA市警のブレードランナー・Kは、レプリカント開発に力を注ぐウォレスの巨大な陰謀を知る。たどり着いたのは、かつて優秀なブレードランナーとして活躍しながら、ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、30年間行方不明になっていたデッカードだった。だが、ウォレス社の陰謀の闇の鍵を握るデッカードには、命懸けで守り続けてきた秘密があった…。
レプリカントと捜査官ブレードランナーの戦いを描いたSF映画の金字塔「ブレードランナー」の35年ぶりの続編「ブレードランナー 2049」。ブレードランナーのKが目撃するのは、アイデンティティーを求めてさ迷うレプリカントの新たな進化だ。そこには、ある奇跡の存在があり、Kに、人間とレプリカントとの違いや、人間らしさとは何かという疑問を投げかけることになる。抑圧された職場で働き、貧困地区で、虐げられ、蔑まれながら生きるKというキャラクターが抱える深い孤独は、例えようもないほど悲しい。ハードボイルドな物語に流れる通奏低音は、我々は何のために生まれてきたのか?という根源的なテーマなのだ。
【95点】
(原題「BLADE RUNNER 2049」)
(アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督/ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、他)
(映像美度:★★★★★)
この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。