知ってた?こんなにも違う海外産と国産のパイナップル

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

今はもう過ぎてしまった夏の話になりますが、近所のスーパーへ行って驚くことがありました。なぜかというと販売されていたパイナップルに「国産(沖縄産)」のポップがついているのを見たからです。パイナップルに国産ものがあった事は以前から知っていましたが、まさか近所のスーパーに置いているとは思いませんでした。ちなみに国産と海外産の値段の差は2となっています。

筆者近所のスーパーの価格

海外産(フィリピン) 398円
国産(沖縄県産) 798円

この記事を読んでいる方の多くは、パイナップルといえば海外産しか食べたことがないと思います。国産と海外産のパイナップルは何が違うのか?今回、その違いを取り上げてみたいと思います。

日本のパイナップルの80%がフィリピン産

「パイナップルの世界シェア」はコスタリカ、ブラジル、フィリピンがトップ3で全体の約30%を占めます。「うーん?でもコスタリカとかブラジル産のパイナップル見たことないぞ…?」と思われたその感覚は大正解。確かに世界シェアでは、コスタリカとブラジル産はメジャーですが、日本国内に流通する海外産パイナップルについていえば、その80%がフィリピン産となっています。また、日本国内のパイナップルのシェアは、海外産が97%、国産が3%程度です。

世界パイナップル生産量ランキング(2014年)

順位 国名 生産量(トン)
1 コスタリカ 2,915,628
2 ブラジル 2,646,243
3 フィリピン 2,507,098

出典:グローバルノート

 

日本のパイナップルのほとんどがフィリピン産の理由

ここでフッと疑問が湧いてきませんか?「世界シェア1位のコスタリカ産とか、ブラジル産は日本には入ってこないの?」「なぜほとんどフィリピン産なのだろう?」と。黒坂なりにこれらの疑問に対する答えを次のように考えてみました。

まず、日本に入ってくるパイナップルの80%がフィリピン産で割合が高い理由、これは物理的な距離が関係していると考えています。

・ブラジル - 東京 17,387km

・コスタリカ - 東京 13,231km

・フィリピン - 東京 3,113km

となっています。これを表で示すと次のようになります。

※グラフは筆者作成

これを見ると、世界シェア1位と2位のコスタリカとブラジルは日本からいかに距離があるのかご理解頂けたと思います。地球の赤道の距離が40,075kmですが、「ブラジル-東京」間は赤道の半分近く距離があり、めちゃめちゃ遠いです。しかし、フィリピンは思ったよりも近所なんですよね。稚内市(北海道)から石垣島(沖縄県)の直線距離は約2,830kmで、フィリピン - 東京 3,113kmとあまり変わりません。海外から輸入している果物の多くは船便です。距離が近ければそれだけ輸送料も節約でき、スーパーでの販売価格も安くできます。結論的に「フィリピンは日本から物理的に近いからそれだけ日本での流通量も多い」というものでした。

海外産との最大の違いは「熟成度」

多くの果物は「追熟」といって、収穫して枝から実が離れた後も熟成が進んでいきます。追熟とともに実は柔らかくなり、甘さが出て、酸味が収まるなどどんどん食べやすくなります。

ですがパイナップルは他の果物にない「追熟しない」という特徴を持っています。「いやいや買ってきたパイナップル常温で置いていたら酸味が収まって食べやすくなったけど!?」と思った人がいるかもしれません。確かに日数を置くことでパイナップルの酸味は落ち着きます。ですが、これは追熟とは違うんですよね。

果物は追熟することでフルーツに含まれるデンプンが分解され、果糖になります。デンプン→果糖となることで、「お!甘いなこれ!!」と感じられるわけです。しかし、パイナップルはデンプンが少ないため、時間をおいても果糖は増えません。ですので買ってきて時間を置いても甘くなりません。パイナップルは樹についている間しか熟成しませんが、海外へ輸出する場合はなんせ距離があるじゃないですか。熟成はせいぜい10-20%前後と言われており、熟成度は低いパイナップルが食卓にのぼります。ちなみに時間をおいてもそれ以上熟成しないため、スーパーに置いてあるパイナップルは、売られているその時が一番新鮮で食べ頃ということになります。買ってきたパイナップルは時間をおかずに新鮮な内にさっさと食べるようにしましょう!

それに対して沖縄産のパイナップルの熟成度は70%ほどあると言われています。国産と海外産のパイナップルは熟成度が大きく違うので、食べてみると分かるのですがかなり違っています。国産パイナップルは完熟マンゴー、ぶどうや桃よりも甘いに17.5度の糖度があります。私も食べてみたのですが、缶詰のパインを食べているような感覚を覚えるほどの甘さでした。

まだ国産のパイナップル未体験の人は、興味が湧いたのではないでしょうか?機会があればぜひ試してみてくださいね。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。