ドナルド・トランプ大統領の初の訪日が近づくにつれて、同大統領と安倍晋三首相との密接な関係が改めて日米両国で注視されるようになった。
両首脳が個人の次元でも政策の次元でも、通常の日米両国首脳の友好や親交の域を越えて異例なほど親密であることは周知の事実である。米国の大手メディアの間で「トランプ大統領と安倍首相は相棒だ」という論評まで出てきたことは、この連載コラムでも紹介した(「米国でも注目、トランプ・安倍の親密すぎる相棒関係」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51099)。
この論評記事では、トランプ、安倍両首脳が単に個人として波長が合うだけでなく、安倍首相の側からトランプ大統領に働きかけて親密な絆を築いたという米側専門家たちの見解が紹介されていた。中国の挑戦や北朝鮮の脅威に直面する日本が、日米同盟に基づいた米国の強大な抑止力をかつてないほど必要としている、という分析だった。
確かに現在の国際環境を考えれば、日本にとって、同盟相手である米国の首脳との堅固な絆を保つことは大いなるプラスだろう。ところが米国側にも「トランプ大統領も安倍首相と同等に、もしくはそれ以上に、日本との緊密な関係を必要としている」という見方が多いことが分かった。それらの見解は、ワシントンで米国政府の外交や安全保障、さらには日米関係、対アジア関係などに長年関わってきたベテランの専門家たちに私が直接尋ねた結果、判明した事実である。
安保政策の一致が根底にある
まず、歴代の共和党、民主両党政権の国防総省で高官を務め、北大西洋条約機構(NATO)駐在の米国政府代表を経て日米安保関係の研究の実績もあるブルース・ワインロッド氏は、トランプ、安倍両氏の安保政策の共通点が必然的に緊密な絆を生んだという見解を語った。ワインロッド氏は現在ワシントンの外交安保研究機関「ポトマック財団」の顧問を務めている。