マイナンバーで853の行政手続き書類を省略!電子政府へ着実に一歩

小林 史明

11月3日、グロービスのG1経営者会議に参加し、「働き方改革」をテーマにワーク・ライフバランス 小室淑恵氏、リクルートマーケティングパートナーズ山口文洋氏、三菱地所プロパティマネジメント千葉太氏、UQコミュニケーションズ 野坂章雄氏と議論させていただきました。

その中でも、政府として企業に働き方改革を求めるだけでなく、行政も電子化を進めて効率化を図っていくことをお約束してきました。実際に保育申請書類のフォーマットが自治体ごとに異なることを委員会で指摘し、改善が進んでいることをご紹介したところ、企業の労務系に詳しい方からは大歓迎の声をいただきました。上場企業の労務担当者は年間平均88時間もこの書類の手書きに時間を取られているという調査もあるほど非効率な手続きだったのです。

853の手続きで申請書類が省略可能に

連休前に、政務官を務める総務省で大きな発表がありました。マイナンバー制度を利用して行政機関の間で情報をやりとりする「情報連携」と、個人向けのポータルサイト「マイナポータル」の本格運用を開始します。

(報道資料)マイナンバー制度における「情報連携」及び「マイナポータル」の本格運用等開始

「情報連携」だと抽象的でピンと来ないと思います。たとえば幼稚園や保育園を利用する際の認定を受けるため、地元の区市町村に申請する際には住民票の写しや児童扶養手当証書などが必要ですが、マイナンバーで「情報連携」することでそうした公的証明書の提出が不要になります。

同じように、介護給付の申請に必要な課税証明書が不要になるなど、853の申請で手続きが簡素化できるようになります。

一方、マイナポータルは、そうした手続きの際に自分の情報が行政機関同士でどうやりとりされたのかの履歴を確認できたり、子育てに関するサービスの検索やオンライン申請が「ワンストップ」で可能になりました(詳細は総務省サイトのこちらのページで)。

特に注目いただきたいマイナポータルの機能の一つが、すでに7月から実施している「子育てワンストップサービス(ぴったりサービス)です。お住まいの市区町村で実施している子育てサービスがどのようなものか検索できます。試しに私の地元、広島県福山市を「子育て」で検索すると、「児童手当等の受給資格及び児童手当の額についての認定請求」といった14種類の手続きが表示されます。

LINEとの“連携”で、ぴったりの行政サービスをお届け

そして、いまや国民的なSNSといっても過言ではないLINEとマイナポータルが連携しています。連休明けの7日から、LINEのマイナポータルのアカウントにお友達登録し、子育てサービスで検索すると、図のように「ぴったりサービス」にアクセスして、マイナンバーを使った電子申請ができるようになります。

※電子申請に必要なマイナンバーや氏名等の個人情報を、「LINE」側で取得したり、「LINE」側が保有したりすることはありませんのでご安心ください。

マイナンバーカード普及のカギは利便性とお得感

マイナンバーカードについては、政府として当初は今年3月までに3,000万枚を配布する目標を掲げていましたが、まだ3分の1程度にとどまっています。

先日の日経新聞で、マイナンバーの現状と課題をまとめた記事が出ていましたが、世界でもっとも政府の電子化が進んだエストニアですら国民番号のカードを配布した当初は、国民が冷ややかにみていたそうです。

マイナンバーは何のためにあり、カードは何に役立つのか。日本では国民がそのイメージを描けずにいる。

番号制が浸透する国もある。電子行政先進国とされる欧州・エストニアの事情を探ってみた。同国の国民も最初は「車のフロントガラスの雪かきにしか使えない」とカードを皮肉ったが、銀行振り込みの手数料を抑えるなどのサービスを手厚くしたら、取得が進んだという。結婚・離婚や不動産取引などを除き、ほぼ全ての行政手続きがネットで完了する。

(10月31日・日本経済新聞「マイナンバー背水の陣 利便性とお得感、普及のカギ」より)

行政の電子化を進めることができれば、国民の利便性は必ず向上します。新たな社会インフラを導入することへの不安をどう拭えるか。世論が前向きになっていただけるように、担当の政務官として取り組んでいきます。

ネット投票の時代も視野に

行政の電子化といえば、野田総務大臣と河野外務大臣が、在外投票のインターネット投票導入について検討していることを明らかにし、ネット上で話題になっています。

ネット投票、海外在住の日本人向けに導入検討 河野外相:朝日新聞デジタル

先の衆院選は投票日当日が大型の台風に見舞われたこともあり、若い世代を中心にネット投票導入を求める意見がみられました。将来的に国政選挙でネット投票を実現する際には、マイナンバーカードの普及も含めた行政の電子化が必須になります。もちろん、それ以外にもネット投票導入実現のために乗り越えるべき課題はあるのですが、行政の現場にいる一人として、その日が近づくように一歩一歩着実に目の前のことに取り組んでいきます。


編集部より:この記事は、総務政務官、衆議院議員の小林史明氏(広島7区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2017年11月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林ふみあきオフィシャルブログをご覧ください。