「栄養失調」で痩せる夜バナナダイエット

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

先日、外で人と待ち合わせをする時にコンビニへ入りました。私はいつもコンビニに入っても必要な物を買い、さっさと出てしまう質なのですが、その日は相手を待っている間時間があったので、久しぶりにゆっくりと店内に置いてあるものを見ていました。本のコーナーに差し掛かった時、パッと目に入ったのが「夜バナナダイエットで痩せる!」というキャッチコピーの書かれた本です。思わずその本を手に取って読み、感じたことがありましたので、今回お話をしたいと思います!

夜バナナダイエットとは?

一時期テレビで芸能人が挑戦したり、検証したりしたことで一気に話題になったのが夜バナナダイエット。「テレビ離れ」などと言われていても、やっぱり今でもブームの火付け役にはテレビはすごい力を発揮するものですね。

さて、この夜バナナダイエットとは、夜にご飯やお肉を食べるのをやめてバナナだけにしましょう!というシンプルなもの。なぜこれで痩せるのかというと、それまでガッツリ食べていた高カロリーの夕食を低カロリーのバナナに置き換えるから、というシンプルなお話です。例えば夕食に牛丼で済ませる人もいると思いますが、牛丼は並盛りを食べるとだいたい700kcal、大盛りだと1,000kcal近くになります。

それに対してバナナのカロリーはというと、1本たったの86kcalと実に牛丼並盛りの8分の1しかありません。2本食べてもまだ4分の1。そりゃあ今まで700kcalとか1,000kcalの食事を毎日夕食として食べていたものが8分の1に下がれば痩せて当たり前ですよね。

私が感じたこの夜バナナダイエットについては「これは健康的にダイエットしているというより、栄養失調で痩せ細っているだけなのでは!?」という「危機感」です。

心と体の充足感があってはじめて成功するダイエット

私は「カロリーが低くてお腹が膨れるものでダイエットは成功する」という理論はありえないと思います。そんな単純な話で誰もがダイエットできるのであれば、世の中にはこんなにダイエット食品で溢れているわけがありません。「よし!今日から少食生活のスタートだ!」と決意して、夕食を小盛りご飯とサラダ、豆腐と味噌汁で済ませられるのであれば誰もダイエット食品にお金を使わないでしょう。

でも、現実はそうではありません。なぜかというと慣れない低カロリー食をスタートして一日目、二日目は耐えることができても三日目以降の長期継続ができないからです。食事制限をしている時にYouTubeでおいしそうな焼肉動画なんて目に入った日には、最初持っていた決心なんて吹き飛んでしまいます。

人の心はロボットではないので、摂取カロリーの数値だけを見てダイエットに挑戦しても絶対に長続きしません。「おいしい!」「お腹が膨れた!」という心の充足感も、食事の大事な要素ですからそれまで牛丼食べて満腹になっていたものをバナナに置き換えて、本当に我慢ができるのかな?と思いますね!

ちなみに置き換えダイエットをカロリーの数値の低さだけを求めるなら最強は「ところてん」です。なんせところてんは99%が水で100gあたりたったの1kcalですからね!本気でガツガツ食べればきっとお腹もそれなりに膨れるでしょう(続くわけないですが…笑)。

話を元に戻すと…今回の夜バナナダイエットのような置き換えダイエットで重要なのは「心と体の充足感」これにつきます。鼻息荒くダイエットを頑張って、栄養不足で勢い良く倒れてしまってはまったく意味がありませんからね!それから食事は単に栄養補給ではなく、心が満たされなければ「もっと食べたい!おいしいものが食べたい!!」とムリがたたって途中でドカ食いが始まってしまうものです。

ダイエットは長期戦です。何年もかけてついた脂肪が1週間のダイエットでいきなり消そうとしてもどうしてもムリが生じます。要するに頑張らず、無理無く続けることができるかどうか?それがこの夜バナナダイエット成功の鍵を握っているといえるでしょう。

不足する栄養もあるバナナ

バナナは比較的栄養価の高い食べ物です。夜バナナダイエットを推奨する本もブログも「バナナは栄養価が高い!」と口を揃えます。そしてこんな栄養表を見せてドヤ顔をしているわけです。

<バナナ1本あたりの栄養価>

タンパク質:0.99g

脂質:0.18g

炭水化物:20.25g

ビタミンA:4.5μg

ビタミンE:0.45mg

ビタミンB1:0.05mg

ビタミンB2:0.04mg

ナイアシン:0.63mg

ビタミンB6:0.34mg

ビタミンC:14.4mg

カリウム:324mg

カルシウム:5.4mg

マグネシウム:28.8mg

リン:24.3mg

鉄:1.08mg

亜鉛:0.18mg

データ引用元:カロリーSlism

「わー!やっぱりバナナにはたくさん栄養が!!」…と思いましたか?でもちょっと待って下さい!バナナは確かに栄養価が高い果物に間違いはありませんが、それだけでは不足してしまう栄養素もあります。例えばカルシウムやタンパク質がそれにあたります。あなたはこの表のカルシウムやタンパク質の数値を見て「うーん、なんか少ないなあ」と気づくことができたでしょうか?できないですよね?

ちなみに一日に必要とされる分量は「カルシウムは650mg」「タンパク質は60g」と言われていますが、それに対してバナナは「カルシウムは5.4mg」「タンパク質は0.99g」ですのでぜんっぜん足りません。なので数字だけズラッと見せられても、それで十分なのか?不足してしているものもあるのか?という判断は容易ではありません。ですのでバナナ単食で痩せたとしても、それは栄養失調でやせ細っているだけです。そうなってしまっては日常生活や仕事でも影響が出てしまいますので、「バナナは完全無欠のフルーツ!」と考えず、不足しがちな栄養価にも冷静に目を向けるようにしてください。

ちなみにどうしても夜の食事でダイエットをしたいというなら、私の場合は夜バナナよりも、食前にサラダを多めに食べる方が良いと思います。ご飯や肉をがっつく「前」に、バリエーション豊かにキャベツや人参、ごぼうやトマトなどを食べます。そうすることで、満腹中枢が刺激されてお腹も膨れ、食べすぎることはありません。あれこれ栄養素の含まれた食材を食べれば満足度も高くなりますし、不足する栄養価も補えるのではないでしょうか?

流行りのダイエット法に飛びついて挫折を繰り返すのはもうやめにしませんか?ダイエットをするならおいしくて、健康的で、心に無理のない方法を探すのが良いと思います。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。