保育園で熱出した子を、迎えに行って病児保育室に送る「レスキュー」

駒崎 弘樹

11月2日、病児保育室フローレンス初台に一本の電話がありました。

渋谷区のある保育園で、熱を出した子どものお母さんからです。

その電話を受けて、病児保育室フローレンス初台のスタッフは、保育園までかけつけ、お子さんをキャッチ

タクシーで病児保育室フローレンスまで戻ってきて、病児保育がスタート。

最初はよく泣いていたお子さんですが、しばらくする機嫌も良くなり、落ち着いて過ごすことができました。

お母さんが帰ってくると、「助かりましたー!」というコメントをいただきました。

この仕組みを名付けて、病児保育室からの「保育園レスキュー」

今回は、10月開園以来、初めての「保育園レスキュー」でした。

病児保育に、フローレンスが長年培ってきた「訪問型病児保育」を組み合わせた取り組みです。

施設型病児保育の難点

政府の病児保育政策の中心であり、補助も出している施設型病児保育ですが、課題があります。

主な課題は

(1)(病後児ではなく)病児をみれるのは、クリニック併設型のみ。小児科クリニックの数しか病児保育をつくれないのであれば、最初から不足が前提

(2)施設に通える範囲が限られてしまう。都市だと自転車で10分程度の距離内。

(3)定員数が4〜6人と限られており、キャパシティが小さい

というものです。

病児保育のニーズは非常に大きいにも関わらず、既存の病児保育施設のみでは、問題解決ができないのです。

施設型に訪問型病児保育を組み合わせる

そこで、カバー範囲の狭い病児保育施設に、保育者が訪問しマンツーマン病児保育を行う「訪問型」病児保育を組み合わせることで、区域全体をカバーできるようになるのではないか、と。

そうすれば、限られた財源をうまく活用できますし、公的資金が入っているので、安価に訪問型病児保育も利用できます。

こう言うと、いいことづくめのような施設+訪問型モデルですが、施設を使うため、(3)定員数が限られている という問題は引き続き残ります。

よって、100%レスキュー保証を望む層の方々は、(フローレンスの訪問型病児保育のような)民間サービスを活用頂き、公的サービスにおいては一定の対応率になる代わりに、安価に提供する、という住み分けになっていくのかと思います。

(ちなみに渋谷区を始めとして、幾つかの区では訪問型病児保育の利用料補助の仕組みもあります。)

より「みんな」の病児保育インフラへ

現在、病児保育室フローレンスの利用者登録は、オープン1ヶ月にも関わらず、471人。保育園レスキューの登録者は33人。今後、渋谷区に住むより多くのご家庭にこの仕組みを知ってもらい、活用してもらえたら、と思います。

利用方法など、こちら

また、今後フローレンスは、施設型と訪問型を組み合わせて、ひとり親や低所得家庭においても経済的負担の少ない病児保育インフラを広げていきたいと思っています。

病児保育を通じて、親子を支えたいと言う人は、ぜひフローレンスのドアをノックしてください。