昔、自分が読んでいた媒体とか、ファンだった著者と仕事をするのって感慨深い。『別冊宝島』(もっとも、私が読んでいた頃よりもだいぶ変化したけれども)に寄稿した時とか、番組やイベントで宮台真司先生と共演して、さらに彼の本が文庫化される際の解説を書いた時なんかは感激したな。
『現代用語の基礎知識』もそうだ。中学時代くらいから愛読していた。大変光栄なことに、2013年版からお手伝いしており。最初は就活関連の担当だったが、昨年から「働き方事情」というページを担当している。今年も担当。嬉しい。そうそうたるメンバーとご一緒させて頂いている。
もっとも、どの言葉を選ぶのかはかなり悩んだ。何を選んだのかは紙面を見て欲しいのだが。言葉を選び、説明する過程で気づいたのは、やはり「働き方改革」の上滑り感である。働き方が国をあげた議論になること、それを変えようとすることは誰も声をあげて否定はしないだろう。もっとも、仕事の絶対量、役割分担という根本に踏み込まなくては改革どころか改悪にしかならない。この矛盾はすでに噴出している。
このあたりは、来週リリースする、おおたとしまささんとの共著で語り合っており。今月開催するイベントでもとことん語り合うつもりだ。
本題に戻ろう。もうひとつのキーワードは「ブラック企業」関連。これに関しては、今野晴貴さんも「雇用と格差」というコーナーで担当しており、そちらが充実しているのだが。私もいくつか取り上げた。このような言葉が、この媒体に載るということは、まだまだ社会問題として根強く残っているということなのだけど。なぜ、ブラック企業は生まれてしまうのかという視点は今後も持つべきだろう。
「働き方改革」とも絡むが、「新しい働き方」についてもいくつか言葉を取り上げた。しかし、これもまた問題を根本的に解決するのか、という視点が大切だ。新しいことを目的化するのもまた問題である。この新しい働き方が本当に新しいのかという視点も大切で。テレワークにしろ、副業にしろ、フリーランスにしろ試行錯誤は繰り返されてきており。別に新しいわけでもなく。
というわけで、用語解説のようで、問題提起しまくっているので、ぜひ、ご覧頂きたい。専門家として、論者として、今後も頑張るよ。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年11月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。