共産都議辞職:成人した子どもの責任を、親はどこまで負うべきなのか?

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

小池知事の動向が注目される都議会ですが、決算特別委員会が行われる中、またも不測の事態が発生してしまいました。

共産の井樋都議が辞職 長男逮捕を受け(毎日新聞)

7月に当選されたばかりの新人議員である井樋(いび)都議が、二十歳になる長男が逮捕されたことを受けて、議員辞職することを発表しました。

政治家の出処進退は自分自身で決めるものというのは大前提として、個人的な所感を述べますと。

井樋都議は「成人しているとはいえ、同居している息子だ。議員という公職にある者としての責任の重大さを考えた」と辞職を決断した理由を話した。

記者会見でこのように話された井樋都議のお考えは、もちろん一理あると思います。

ただ、すでに成人している子どもは別人格であり、その責任を果たしてどこまで親が負うべきなのか?というのは極めて難しい問題です。

日本社会は一般的に「家族」の結びつきが強いと言われていますから、仮に家族の1人が犯罪行為などを犯してしまうと、どうしても家族全員が一緒くたに見られてしまう事態が生じます。

成人した別人格である家族の責任を取って、議員が政治生命を失うことが通例化されれば、こうした風潮を助長してしまう可能性があります。

その一方で、もちろん育ててきた子どもは親と無関係ではなく、政治家には私人より高い倫理観が求められることから、議員辞職するほうが望ましいという考え方もあるでしょう。

どちらかが正しいということは断定できない難解な問題ですが…

やはり私としては、やめるよりも任期まで議員としての職責を果たし、次回の選挙で有権者による審判を仰ぐ方がベターではないかと感じる次第です。

とはいえ、今回の井樋都議の潔い判断も尊重されるべきものと思いますし、今後のご健勝を心よりお祈りしたいと思います。

なお、この辞職により都議会議員の人数は126名(定数127名)となりますが、繰り上がり当選や補欠選挙はありません。

繰り上がり当選は選挙後3ヶ月以内と定められており、7月2日に結果が出ているのですでに期間外。

補欠選挙については都道府県議会の場合、同一選挙区で2名以上の欠員がでなければ行われません(ただし、一人区の場合は即座に補欠選挙が行われる)。

民意を代表する議員が1名減ってしまったことは残念ではありますが、引き続き都議会で欠員を補うような活発な議論が行われるよう努めて参ります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年11月15日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。