【映画評】こいのわ 婚活クルージング

渡 まち子

突然、会社から社長を解任された門脇誠一郎は、65歳にして、残りの人生を共に過ごすパートナーを探すために婚活に励む。だが、最初の見合いの相手で、35歳の美人編集者の山本ナギと会って早々に大喧嘩。とはいえ、リッチな誠一郎のもとにはさまざまな境遇の女性たちが群がってきた。一方、ナギも年下のイケメンに言い寄られるが、誠一郎のことが気になってしかたがない。誠一郎とナギの婚活は複雑な思惑が絡むが、そんな中、豪華クルーズ船・銀河での一大婚活イベントがはじまる…。

65歳の富豪のバツイチ男性と35歳の独身女性が婚活に奮闘するラブ・コメディー「こいのわ 婚活クルージング」。結婚離れや少子化対策の一環として、広島県庁が手掛ける婚活事業“こいのわ”は、相手と出会う場を提供する結婚支援プロジェクト。約9000人が登録し、100組近い男女が成婚に至っているのだそうだ。広島カラーを全面に打ち出した本作は、700人もの市民エキストラが参加し、広島市をはじめ、尾道、呉、福山、今治などでもロケを敢行。瀬戸内海の美しい海に、おいしそうなレモン、極めつけは、真っ赤に染まる広島カープ愛だ。

初老の誠一郎が婚活するのは、将来、自分を介護してくれる伴侶を探すため。富豪の彼のもとには、バツイチシングルマザー、トランスジェンダー、後妻業の女などが群がってくる。美人でスタイル抜群のナギは、雑誌の取材も兼ねて婚活に参加しているが、かつてカープのマスコットガールとして注目されて一度は女優になったものの芽が出ず、東京の小さな出版社で働く35歳で、どこかで「私の人生、こんなはずじゃなかった…」との思いがある。最悪の出会いから、最高の恋愛へ。ラブ・ストーリーのセオリー通りに進む物語だが、ラストには思わぬどんでん返しも。大きな感動や驚きとは無縁だが、婚活をテーマに、これでもか!とばかりの広島愛で押し通すこのご当地映画は、広島県民とカープファンには微笑ましい小品といえようか。
【50点】
(原題「こいのわ 婚活クルージング」)
(日本/金子修介監督/風間杜夫、片瀬那奈、海老瀬はな、他)
(広島愛度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年11月22日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Twitterから)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。