【映画評】gifted/ギフテッド

©20世紀フォックス映画

フロリダの海辺の町に住む独身のフランクは、幼くして母を亡くした7歳の姪メアリーと、片目の猫フレッドと一緒に、ささやかだが幸せに暮らしていた。だが、ある日、メアリーに天才的な数学の才能があることが明らかになる。フランクの母エブリンは、孫のメアリーに英才教育を施すためフランクから引き離そうとするが、フランクは頑なに、メアリーの特別扱いを拒む。二人の対立は決定的になり、ついに裁判へともつれ込むが、フランクには亡き姉から託された、ある秘密があった…。

特別な才能がある7歳の少女と彼女を育てる叔父との絆を描く家族ドラマ「gifted/ギフテッド」。タイトルのギフテッドとは、生まれつき持っている高度な能力のことを指す。いわゆる天才少女の物語なのだが、本作ではメアリーの特別な才能が主題ではなく、彼女の存在そのものが、本当の幸せとは何だろうと、大人たちに問いかけ、それぞれが苦い思いを乗り越えてその答えを見つけるストーリーなのだ。祖母は孫娘に歴史に名を残す天才数学者になってほしいと望み、叔父は、特別な才能を持っていたとしても、子どもらしい生活を体験させたいと願っている。親権を争う形で両者は対立するが、明らかなのは、日ごろはケンカばかりしていても、メアリーはフランクのことが誰よりも大好きだということだ。

監督のマーク・ウェブは長編デビュー作「(500)日のサマー」が素晴らしすぎて、その後、伸び悩んだ印象があったが、本作では丁寧でハートウォーミングなストーリーで本領を発揮している。もはや「キャンプテン・アメリカ」と一体化しているクリス・エヴァンスも、無骨だが誠実な叔父を好演。オスカー女優のオクタヴィア・スペンサーの使い方が表層的なのは少々残念だが、何といっても、オーディションで選ばれたという子役マッケンナ・グレイスが出色だ。数学の天才ぶりと少女のあどけなさ、生意気なのに健気と、難役を天性の感情表現で演じて、不器用な天才少女メアリーを愛さずにはいられなくなる。ハリウッドの子役の才能のすそ野の広さは、やはり桁違いだ。家族という問題には、数学のように、明白な答えはない。人生の豊かさとは何かという“難問”もまた同じ。ただ、この心温まる物語には、人を愛する才能を磨くヒントがある。見終われば、きっと優しい気持ちになれる。
【70点】
(原題「GIFTED」)
(アメリカ/マーク・ウェブ監督/クリス・エヴァンス、マッケナ・グレイス、オクタヴィア・スペンサー、他)
(ハートウォーミング度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年11月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。