ビットコインの購入には、取引所に口座を開設してクレジットカード決済を選ぶことができます。
だからこそ、ビットコインが1万ドルの大台を突破する過程で、こんな検索ワードがグーグルでトレンド入りしました。
「ビットコインをクレジットカートで買う方法(buy bitcoin with credt card)」です。グ—グル・トレンドの調査によれば、11月19〜25日の間に100に達し、過去1年間で最高スコアを記録しました。グーグル・トレンドで100は期間中のピークを指し、破竹の勢いで急上昇を続けるビットコインの値動きに合わせ人々の関心を集めたことが分かります。
(出所:Google Trend)
年初から実に870%以上のラリーを演じているだけに、ビットコインをバブル崩壊を予言する声が多くなっているのも事実。著名ヘッジファンド、シタデルの創始者であり離婚する妻から月々の養育費100万ドルを求められたケン・グリフィン氏は、ビットコインを時代の仇花よろしくチューリップになぞらえる一人。JPモルガンのダイモンCEOが、9月に「ペテンだ」と痛烈に批判していましたが、クレディ・スイスのティージャン・ティアムCEOも、11月初めに「まさにバブルそのものだ」と警告を発していました。2014年にノーベル経済学賞を受賞したジャン・ティロール氏も、「バブル」のレッテルを貼ります。メディアでは連日、ビットコインの値上がりと共にバブル警戒を発する見解が、まるでパトカーのサイレンのように聞こえてくる程ですよね。
ビットコイン強気派はこうした警鐘にも我関せず、むしろ鼻息が荒くなっているかのようです。フォートレス・インベストメント・グループの元ファンド・マネージャーで、マイケル・ノヴォグラッツ氏は10月時点に10ヵ月以内の1万ドル乗せを予想していましたが、今となっては大胆にも2018年末に4万ドルに乗せると予想。JPモルガンの元主席株式ストラテジストでファンドストラットの代表であるトム・リー氏も、約1週間前に2018年上半期末の目標価格を6,000ドルから1万1,500ドルへ引き上げていました。心理的節目を突破する期間がどんどん短期化しているだけに、予想する側もついていけないようです。
(作成:My Big Apple NY)
通貨、金融システムの安定を目指す国際金融機関のトップもビットコインにこんな見解を寄せ、ビットコイン信者を喜ばせている事実もあります。
「仮想通貨を否定するのは、賢明ではない」、「(ビットコインが)より簡単で安全になる日が来るかもしれない」——発言した人物こそ、IMFのラガルド専務理事。同氏と言えば、IMF本部が北京に移転する可能性にも言及し、西側世界の人間を驚かせたことが思い出されます。
NYでビットコインを取引するアメリカ人は、こう予想します——「ラリーは少なくとも2018年3月頃まで続く」。なぜなら確定申告後の税金還付(タックス・リターン)を元手に、個人投資家が乗り遅れたビットコイン市場に参入すると考えられるためです。CMEグループが年内にビットコイン先物の上場を予定し、オンライン小売大手アマゾンもビットコイン決済を受け入れるのではないかとの根強い噂の存在も、個人投資家を動かしかねません。
ちなみに、アメリカ人の間ではタックス・リターンの使い途を既に決めている方々が優勢です。クレジットカード関連調査会社クレジット・カルマの調査によれば、年代別で使い途を決めていると回答した割合はミレニアル層(1980〜1995年生まれ)で63%、ジェネレーションX(1965〜79年)で52%、ベビーブーマー(1946〜64年)で42%。使い途としては、回答の多い順に以下の通りとなっています。
1位 緊急事態に備えた貯金 20%
2位 クレジット・カードの債務返済 18%
3位 その他の債務返済 16%
4位 旅行その他の娯楽向け費用 11%
5位 住宅、自動車など大きな目的のための貯金 10%
6位 自分自身へのご褒美 6%
6位 学生ローンの返済 6%
8位 医療債務の返済 3%
8位 家族の緊急事態に備えた貯金 3%
10位 パートナーへのギフト 2%
”投資資金に充当”は、少なくともトップ10圏外だったわけです。2016年のタックス・リターン額平均が3,050ドル、つまり30万円以下だったので、ビットコインを買えそうにありませんけどね。
(カバー写真:Antana/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年11月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。