マツキヨの保険販売開始から、ビジネスパーソンが学ぶべきこと

異業種との提携による多業態への企業の参入が目立つようになってきました。ファミリーマートのコインランドリー参入は意外でしたが、今度はドラックストアのマツモトキヨシが第一生命保険と提携し、保険の販売を開始するそうです。

このような異業種参入が増えている背景には、既存の業界の成長率が低下し、新しい成長エリアへの事業シフトが必要なことや、テクノロジーの進化や経済環境の変化によって業界の垣根が低くなっていることがあります。

ドラッグストアは国内ではまだ成長しているようですが、コンビニやスーパーと競合することが増えており、差別化が必要になっています。さらに、日用雑貨はネット販売との競争も激化しています。ドラッグストア同士で競争するだけでは生き残っていけないのです。

このような企業の経営環境の変化の中でのビジネス展開においては、2つのことに気をつけるべきだと思いました。

1つは、自分のビジネスを現状の業態で変化しないと決めつけないことです。環境の変化によって自分が現在取り組んでいるビジネスが衰退していく事は珍しくありません。マツモトキヨシが、薬だけではなく保険も販売するのは、ドラッグストアという業態から、健康に関する商品サービスを提供するリアルなアクセスポイントというように事業ドメインの再定義をすることになります。

もう一つのポイントは、事業ドメインの拡大は、何でも内製化しようとしないで外部とのアライアンスを活用すべきということです。マツモトキヨシにしても、セブン&アイとアスクルの生鮮食料品の宅配にしても、なんでも自社でやるのではなくスピード重視で強いものと組んで進めることが重要です。

資産デザイン研究所でも上記の考え方をベースにビジネスを考えるようにしています。

事業ドメインを「伝統的な金融資産を使ったインデックス運用」と定義していては、運用環境が大きく変化する中で、最適なポートフォリオを提供できません。実物資産や仮想通貨などの新しい投資エリアに積極的に事業を拡げ、顧客ニーズに対応しなければ衰退していくという危機感を常に持っています。

また、自社で持っていないノウハウに関しては、他社とのコラボレーションを積極的に行っています。既に国内外の10社以上の不動産会社と提携し、不動産だけではなく太陽光発電投資、アンティークコイン、現代アートなどの専門家とのネットワークも活用しています。

さらに、金融商品仲介業を軸にプライベートバンクビジネスを展開するウェルスパートナーと協力し、資産デザイン・ソリューションズを設立。自社では提供できなかった、金融商品の銘柄選択を含めたポートフォリオ提案ができる資産運用コンサルティングサービスを提供開始。資産デザイン研究所のお客様に、高品質で多様なサービスが提供できるようになりました。

変化の激しい時代は大きなチャンスに溢れています。ただし変化を拒否する人ではなく、柔軟に受け入れる人だけに、チャンスの女神は微笑むのです。

(写真は最近の夕食。本文とはまったく関係ありません。)

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年11月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。