前から気になっていた、ベストセラー『うつヌケ』(田中圭一 KADOKAWA)を読んだ。田中さんとは面識がないのだが、玩具業界出身者、副業経験者、さらには鬱経験者と3つも共通する要素があり。いつか会えると信じている。
うん、良い本だ。完成度が高い。内容も、いい。鬱になったとき(あるいは、周りにそうなった人がいるときに)役に立つ本だ。いや、別に鬱に限らず、人生の悩みにどう立ち向かうべきかがよく分かる。何かこう元気が出て来る。漫画も可愛いし、面白い。
しかし、読み終わった後、ぐったりするような、あるいはブルブル震えるような、そんな恐ろしい感覚になったのは、なぜだろう?そう、この本を読んで、すっかり克服したと思っていた鬱というか、躁鬱をちっとも乗り越えていないことに気づいたからだ。
鬱病で休職したことは一度ある。その前も、後も数年に1回くらい猛スランプがやってきて、欝気味になる。今年もややそんな感じではある。躁鬱の波がそこそこあり。いや、そうじゃなくても、ずっとメンタルの不調が続いているのだと感じた。
家内に言われてびっくりしたのだけど、私はいつの間にか「死んでやる」とつぶやいていることがあるらしく。また、不注意も多く。以前ほどではないが、たまに衝動買いをするし。タクシーを止めることもよくある。電車が苦手だからだ。なんというか、メンタルの不調が慢性化しているってことじゃないか、これ。
本を読んでいて、自分の中での解決できない何かに気づいてしまった。ゾッとした。
それでも、やや冷静になれたのは、この本に描かれていた生きるヒントのおかげだろうか。この手のものは、付き合っていくしかないわけで。何もかも自分で抱え込んではいけない。そういうものなのだということで、向き合っていく。
家内も私が読んだ後に、あっという間に読んだのだけど。おかげで、支え合って生きていかなくちゃと思った次第だ。
娘を幸せにするぞ、なんとか成人するまでは生きるぞなんて日々思っているけれど、そういう力みすぎのよくないのかな。というわけで、あまり深刻にならずに、自分の特徴だと思って向き合っていこう。うん。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。