「ハイデイ日高」から学ぶ不動産投資戦略

内藤 忍

ラーメンチェーンのハイデイ日高と幸楽苑の収益格差が話題になっています(写真はハイデイ日高のホームページから)。

1999年に上場したハイデイ日高は、増収が続き、今期も好調。13年連続で過去最高を更新する見込みです。店舗数は400店を超える程度で幸楽苑より100店以上も少ないにもかかわらず、今や売り上げは幸楽苑を上回るまでになっています。

これに対し、幸楽苑は、1997年の株式公開以来、上期は初の営業赤字に転落。店舗を閉鎖して、その一部をいきなりステーキのフランチャイズに転換することが発表されました。

同じラーメンのチェーンなのにどこが違うのでしょうか。

2つの収益の違いは立地戦略にあるようです。幸楽苑が全国の郊外の路面店を中心に店舗展開しているのに対し、ハイデイ日高は首都圏の駅前や繁華街に集中出店しています。

路面店はアルコールがあまり売れず、収益にマイナスに働いていることもあるようです。アルコールが原価率が低く収益に貢献します。また、人口の集中しているエリアに店舗を集中させ、オペレーションを工夫することで効率的な運営を行っているのです。

今後、国内では都心への人口流入が続きます。幸楽苑のビジネスモデルは、更に顧客の高齢化、減少を招きやすいエリアで、このままでは格差は更に広がる可能性が高いと思います。

ラーメン店の出店戦略と同じことが、不動産投資にも当てはまります。都心に人が流れ込み、人口が増えていく一方で、地方からは人口が流出し、街の様子が変わっていく。目先では見えない変化も中長期的には取り返しのつかない大きな差になっていくのです。

ハイディ日高が、都心・中古・ワンルームだとすれば、幸楽苑は地方の一棟もののような存在です。

全ての地方が悪いとは言えませんが、都心に比べて選択のハードルは高く、少なくとも初心者が手を出すのはやめた方が良いと思います。都心の駅近というハイデイ日高の立地戦略は、不動産投資の視点からも理にかなった方法です。

飲食店も不動産のセンスがあるところと無いところで、同じ業態であっても業績の違いが顕著に表れるのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年12月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。