韓国の文在寅大統領は13日から中国を国賓訪問する。北朝鮮の核問題の平和的解決や朝鮮半島での平和定着に向けた連携などを協議するとのことだが、中国は10月末、韓中両国が暫定合意した「3不」の立場を守るべきだと強調している。
THAAD(高高度防衛ミサイル)追加配備、米MD体制参入、日米韓同盟発展の三つは「不可」という要求だ。
これは、韓国の自衛権を阻害する主権侵害である。韓国では「3不」が米韓同盟を裏切る行為だと保守派の反対が強い。文在寅政権の卑屈な弱腰外交が非難を受けているのだ。
「米韓同盟」と「日米同盟」は地域安保を守る2本柱である。遠い強大国と同盟して隣の強大国を牽制する「遠交近攻」と「勢力均衡」は地域平和維持の2本柱である。歴史の教訓を逆らうと国家存亡の危機を招来した先例を韓国の文政権は忘れてはならない。
朝鮮半島の地政学的な位置は大陸勢力と海洋勢力が対峙する戦略的な要衝地である。従って、38度線(休戦ライン)は大陸、海洋両勢力のバランスを保つセンターでもある。
日本は恨みを抱える米国と同盟して中国を牽制している。ベトナムも恨みを抱える米国と手を組んで中国を牽制している。韓国も米韓同盟と日米同盟という心強いバックグランドがあるからこそ中国から無視されない。
朝鮮戦争後、世界最貧国だった韓国は米国の援助と日本の経済協力資金で今日の豊かな国に生まれ変わったというのが事実だ。韓国に惜しみない技術と資本を提供した日本と、血の同盟・米国は韓半島の安保と経済を支える2本柱である。中国とロシアは韓国に何の恩恵ももたらしていない。
鄧小平氏も「米国と親しい国は全て金持ちの国になった」とし、米国、日本、韓国と手を組んで“貧乏な中共”を卒業させた。東南アジアも日本と親しい諸国は豊かな国に生まれ変わった。
大陸国家の旧ソ連は大海軍力の建設に国力を浪費し15共和国が分離独立し崩壊した。次の順番は中国だろう。多民族国家の中国でも分離独立の可能性が窺える。韓国は国運を左右する舵取りをしなければならない時点に立っている。
(拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元国防省分析官・専門委員)
※本稿は『世界日報』に掲載されたコラムに筆者が加筆したものです。