起業→国会議員とがむしゃらに働いてきましたが、今年は22年ぶりに少し時間的余裕ができました。 そこで始めたのが油画。 誰かに教わりたいと思ってネット検索をした結果、出会ったのが三浦高宏さんという38歳の素晴らしい画家(東京芸大講師)でした。
芸術の世界にいながらベンチャー的マインドを持って会社を立ち上げ、一人でも多くの人に絵の楽しさを知ってもらいたいと、ITを駆使して基礎カリキュラムをマニュアル化したり、絵画教室に生徒を募集したりしていました。教えるのもとても上手で、すぐに我流で描こうとする私にも、それを否定することなく、分かりやすく基礎を教えてくれました。
私の本も全て読んで頂き、経営的な質問も積極的にされました。政治にも興味を持たれ、TPPのメリットとデメリット(主に著作権分野)で議論も交わしました。また、小さいお子さんのことや、二世帯住宅の計画のことなど、プライベートに関してもいつも楽しそうに話してくれました。12月に入って会った時には「損益分岐点を越えて、やっと一息つけるようになりました!」と嬉しい報告もしてくれました。
そんな前向きで素晴らしい才能を持った三浦さんの訃報がメールで届いた時はあまりにもショックで胸がえぐられる気持ちになりました。亡くなったのは最後に会ってから5日後。 私がアドバイスをした件をすぐに実行に移してウェブサイトが変更になっていたので、まさかそんなことになっているとは想像もできませんでした。
理由に事故とありましたが、信じられず、表参道の裏道にある教室にかけつけました。
いつもは多くの生徒さんで賑わっている室内は真っ暗で、初めてドアに「CLOSED」の看板がかけられているのを見ました。やっと現実であることを受け止めて、一輪の花を献花させて頂きました。
才能溢れる若者を失うことはこの世で一番辛いことの一つです。三浦さんは日本のアート界に新たな風を吹き込んでくれる方だと思っていたので本当に残念でなりません。 彼がやってきたことを引き継いで、次の世代で羽ばたいてくれるアーティストが一人でも出てくることを願うばかりです。
心よりご冥福をお祈りします。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、前参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2017年12月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。