東京地検特捜部が今月8日に大林組を捜索したリニア中央新幹線の建設工事を巡る事案が、大手ゼネコン4社による談合事件に発展し大きな問題となっております。なんとまぁ、あきれ返ることに、4社の担当者は大学時代の同級生で「長年進行を深めながら調整していた」とのこと。大林組が受注業者選定手続きの過程で、他ゼネコンに対して参加を辞退するよう働きかけていたそうで、大学時代の友達ったらそりゃーもう強い友情で結ばれているわけですから、「今度は俺大林にてなんとか」「なら、次は大成君かな。次回はボク鹿島で」「鹿島君の次は私清水でお願い♪」みたいなことが、まかり通っていたのが目に浮かぶようです。
学生コンパの幹事持ち回りじゃないんですよ!税金が投入される事業の入札は!!!????
と新聞を叩きつけたお姐でありました(←合コン幹事ばかりやらされて、なんの実りもなかったヒト)。
【寄せられた談合情報で知った“辞退”の背景】
この事件でようやく私がモヤモヤ疑念を持っていたことが、正しかったと確信いたしました。
それは、「辞退談合」の存在です。都はこの3月から入札制度改革を進めておりまして、4本の柱は以下の通り
1.予定価格の事後公表
2.JV結成義務の撤廃
3.1者入札の中止
4.低入札価格調査制度の適用範囲の拡大
この1.と3.を実現することの方向性は正しい。けれども、これは「辞退談合」を助長するのではないか?と、動物的直観で懸念を抱きました。
というのは、平成26年2月24日に行われた「契約番号25-01005 都営住宅25H-106西(東久留米市南町一丁目)工事」入札におきまして、談合が疑われる情報が2月21日に私のところへ寄せられ、すぐに担当部局に連絡。即日「談合情報検討委員会」が立ち上がり、事情聴取を行ったのです、そして24日の入札にあたっては私も立会い、別の事業者であることを願いながら見守っておりましたが、結局通報通りの事業者が落札するという結果となったのでありました。このとき不可思議だったのは、都営住宅工事という、複雑な特殊技術も要さず、これまでも入札実績があるはずの入札参加した10社中どうしたことか8社が辞退をしていたことでした。
その時、ふっと私の頭の中に、価格を調整して誰かを勝てるようにする出来レース談合のみならず、ある事業者が工事を請け負うように辞退して応札するよう調整する、一見公平・公正・公明の条件を満たす「辞退談合」への疑念が芽生えたのです。入札制度改革においては予定価格を公表しない、しかも1者入札を中止するのであれ、ば尚更このリスクは高まるのではないか、と。
実際のところ、今回の契約議案において、大井ホッケー競技場新築及びその他工事は、前述した平成26年2月の辞退によって都営住宅を応札した件の事業者に決定しております。
【辞退者続出?!都の入札】
このような、前例(笑)がありますことから、私は財政委員となったら、入札辞退の実態を明らかにしたいと強く感じ、晴れて委員会資料要求ができる会派となりましたことから以下の資料要求をいたしました。
※委員会資料なので実際はすべて実名です。欲しい方はお送りしますので、お姐までお問い合わせください。
おやおや、例の談合情報の入った事業者の大井ホッケー競技場工事入札(上の表4番)は、案の定辞退が出ておりますねぇ。そして、この資料で辞退は「施工体制が整わない、技術者の確保が困難」という理由によるものが多いことが明らかになりました。
どれをとっても、かなり大きな工事ですよ。応札の日から入札まで短期間なのに突然「体制が整わない、人が足りない」って、おかしくない?だったらそもそも、入札参加しないでしょう…と委員会で指摘したところ…
「都の入札に参加する事業者の多くは、都発注工事だけでなく、国、他県、区市町村や民間の発注工事も受注してるから、そちらが先に決まって「技術者の配置が困難」になり、都の工事に対して専任する技術者がいなくなったケースなどが考えられる」
との、わかるよーな、わかんないようなお答え。
であれば、「技術者配置の有無について、事前確認をすべきではないの?」と質すと、
「今回提出した契約議案は、全て一般競争入札で執行されており、入札の参加希望申請時点において配置予定技術者を申請させているが、都の発注工事に対していつでも応札し、受注できる準備が常に整っているという意味ではない」
との、わかるようなわからないようなPart2的木で鼻をくくり系ご答弁。
つまり
事業者は、とりあえず入札カケモチで辞退し放題。あるいは、お仲間談合で作為的に辞退状態?
東京都は、東京都で、適宜適正な手続きにのっとてるんだから問題ナッシングと放置。
と、都民に捉えられても仕方のない状況。
そこで「そもそも、どうやって辞退理由を把握してるの?」と確認すると「入札の辞退届を提出する際に電子調達システムで任意で入力できるようになっており、これにより確認」
ということなんです。結果的に1者応札になりかねない「辞退の理由」について、まったく東京都は重要視していないどころか、積極的に把握する姿勢もとってきていなかったことが浮き彫りになりました。
【入札辞退にも着目した制度改革を】
先の定例会直前に、豊洲市場移転の前提となっている水産卸売場棟追加対策工事、参加した業者は事前公表された予定価格より1億円以上も上回る金額で応札し、またしても不調になりマスコミでも大きく取り上げられていたところです。今回の11件の契約議案においても「警視庁本部庁舎大規模改修工事40億7300万円(予定価格42億189万円)は、1者入札だったことから入札を中止、条件を緩和して再公告をし、結局、リニア談合で調査が及ぶ清水建設のみが応札をしたという、これまた、わかるようなわからないようなPart3的な事態になっております。
かねてより、“辞退談合”にならぬか執拗に指摘し続けてきたお姐(巳年)ですが、東京都においては「問題ない」の一点張りで、一笑に付されてきました。今後は、ぜひ、入札においては辞退理由の提出を義務付け、ひとつひとつ丁寧な入札の確認・検証をしてもらいたく、来る予算審査など質疑の場を最大限活用し追及を続けてまいります。当然、こうした視座を小池百合子知事鳴り物入りの「入札制度改革」に反映してもらいたいものです。
【お姐総括】
▲かがやけTokyo平成30年度東京都予算編成に関する提言書でも、談合を強く戒めています
あわせて、お姐は入札条件を満たす登録業者は何者あるか契約案件ごとに確認をし、さらには入札参加条件も資料要求してました。いずれも工事実績を入札参加条件となってましたが、それぞれの業者は、現在は実績があるものの、全業者ともに最初は実績がなかったこと、つまり、日本最初の超高層ビルとなった霞が関ビルを建てた鹿島建設も最初は実績がなかったのであります。
つまり、東京都が発注する工事は、実績がないと入札に参加できないとした場合、より規模の大きいもの、より技術を要するもの等々に挑戦しようとする「ファーストペンギン」事業者を否定するものであり、都においては、現状に存在しないものは未来永劫発注できなくなります。
いいんです、その厳しい入札条件をクリアしても「辞退」しなければ。
しかしながら、新規参入者のチャンスは奪って、貴重な入札の機会を辞退するとはナニゴトでしょうか。だったら、もっと門戸を広げて、エントリーを増やして、辞退のない都の入札制度へ「改革」すべきであります。
入札参加条件を持っている事業者が辞退し放題、新規参入者は締め出しの現状打破を!
追伸:
都担当者が、予定価格を業者に漏洩した由々しき小笠原支庁における入札不正事案についても、手始めに「かがやけTokyo」会派となり解禁となった1年ぶりの文書質問趣意書で鋭意追及を始めております!
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上田令子 プロフィール
地域政党「自由を守る会」
地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)
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