ミステリアスでロマンチックな街、東京

「駅は、そこに来る人たちにとって通過点に過ぎない。最終的な目的地は、自宅や職場、あるいは学校などである。駅に来る人々は、それぞれ異なる目的を持っているのだ。従って、駅とは、さまざまな異なる人々が行き来し、見知らぬ人同士がすれ違う場所である」

上記の「駅」の説明は、平凡社世界大百科事典によるものだそうです。
私自身は持っていないので、どこかで読んだ本からの再引用です。

異なる目的を持った見知らぬ人々がすれ違ったり出会ったりするのは、駅だけではありません。
電車の中も同じです。混雑した朝の時間帯でも、各人の最終目的地はバラバラで、職業や年齢もバラバラです。

東京(及び首都圏)には、駅だけでなく鉄道が縦横無尽に走っています。
車社会の米国や日本の地方都市だと、このような見知らぬ人同士の接触頻度は圧倒的に少なくなります。東京都内の会社や学校に普通に通勤通学しているだけで、一日に何万人もの見知らぬ人と出会っているのではないでしょうか?

新宿、渋谷、池袋の3駅が、それぞれ1日当たりの乗降客数が300万人前後に登るのです。
新宿駅は340万人以上で、名古屋市の人口(約230万人)よりもはるかに多いのです。

このように、けた違いの数の見知らぬ人々と日頃から接触することが、東京という街の最大の特徴でありましょう。

日々すれ違う人のほとんどとは、人生で二度と遭うことがありません。日々何万という”一期一会”を繰り返すことから、運命的な出会いから始まるラブストーリーもあり、犯人らしき人物を見かけるミステリーも生まれるのでしょう。

ストーリーテラーにとって、東京という街は本当に美味しい題材ではないでしょうか?

私が大学4年間を東京で過ごしたとき、偶然に郷里の友人とばったり出くわしたのは、たったの一回しかありません。中学時代に陸上競技に一緒に出た男友達だったので、ロマンスもミステリーもありませんでしたが…。

見知らぬ人たちの中に埋没するのを嫌う人も多いようですが、私はこのような環境は結構好きです。毎日、全く違った人生を生きている多数の人たちとすれ違っていると思うと、それだけでドキドキしてしまいます。

もちろん、狭い電車の中にぎゅうぎゅう詰めにされるのは大嫌いですが(笑)

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年12月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。