手書きで書くことで年賀状にあなたの心を入れられる

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

今この記事を書いている私の状況は、コタツでぬくぬくとあたたまりながら吹きすさぶ木枯らしを見て「うわー、本当に外は寒そうだな…」と思いながらPCに向かっています。そう、季節は12月下旬に差し掛かり、年賀状シーズンのピークを迎えています。

さて、世間では年賀状はかなり存在感を薄めてしまい、「年賀状はもはや書くべきでないもの」という意見すら見られるようになりました。そうした記事を読んでみると「なるほどなあ」と思わされるとともに、「でも年賀状も案外、捨てたもんじゃないぜ?」と思ってしまうのです。さて、あなたは年賀状を書いていますか?今年は書きますか?「年賀状?もう何年も書いてないな…」「出してはいるけど、全部業者任せ」という具合でしょうか?年賀状を出すか?出さないか?その判断はおまかせするものの、出すならプリンターを使うのはやめて、絶対に手書きが良いというお話をさせてください。なぜなら年賀状を手書きで書くことであなたを入れられる、あなたの心を入れられるからです。

年賀状は何のために出すのか?

年賀状って何のために出すのでしょうか?「相手が送ってくるから」とか「礼儀のため」という意見もあるかもしれませんが、「年賀状は対面挨拶の代わり」というのがフォーマルな使い方でしょう。新年になると直接お世話になった方々へ挨拶をしますが、遠方に住んでいる人の場合はなかなかその人の家にいってご挨拶をするということは難しい…そんな時に年賀状でご挨拶をしていたわけです。

年賀状が廃れているからこそ

世間では年賀状が廃れていく、といわれています。年賀状は流行と違って「文化」ですので、なくなってしまうことはありません。しかし、それでも数は減っているのは間違いないでしょうね。私自身が年賀状を受け取る数の減少をひしひしと感じています。私が子供の頃は仲のいい友達はもちろん、ほとんど会話をすることのなかったクラスメイトまで送り合いをしていたので数十枚届くのが当たり前でした。受け取る年賀状にはその人らしさの伝わるメッセージがあり、一枚一枚手にとって読むことがお正月最大の楽しみだったなあ、と思わず懐かしき思い出を回想してしまいます。数が多かったので輪ゴムで留めて両親が私の元へ持ってきてくれていたのですが…今では数が減って輪ゴムで留める必要がないくらいになってしまいましたね。なんだか寂しいですね。

でも、年賀状の数が減っていると言われていても私は今でも年賀状を手書きで一枚一枚書いて出しています。相手から返事がなくても構いません。自分が「この人を大事にしていきたいな」という人には出しています。字が汚いので時々「読めない字があったんだけど?(笑)」と笑われてしまいますが、それでも相手からは笑顔で「でもありがとう」と喜んでもらえているようです。

私は「年賀状なんて出す意味がない」という世間で言われている意見は気にせず、今後も付き合いをして大切にしたいと思っている相手ならばぜひ出すようにしたら良いと思います。年賀状って出すだけで「私はあなたを大切に思っています」という気持ちが伝わるものです。年賀状の数が減っているという世間的な動きがあるならなおさら自分が出した方が受け取る側には一層嬉しいと思うものではないでしょうか?

書くなら絶対に手書き

そしてここからが本題で、私がこの記事で一番言いたかったことです。それは「年賀状を書くなら絶対に手書きで書きましょう!」ということです。

人間の脳は「違い」を見つけ出すのがとても得意です。例えば男子校にいるごく少数の女性を「紅一点(こういってん)」といいますが、とっても目立ちます。たくさんの男子生徒の中に一人か二人の女子生徒がいると「バッ!」と目に飛び込んでくる、脳は積極的に違いを見つけ出しているわけです。

そんな違いを見つけ出すのが得意な脳は、年賀状でもそれを発揮します。私たちはデジタルに囲まれて生活をしています。私もこの記事はキーボードでカチャカチャ打っていますし、あなたもそれをデジタル文字でこれを読んでいます。現代人は普段の生活で見ている文字の99.9%くらいデジタルで読んでいるのです。そんなデジタルの文字はたいてい明朝体かゴシック体です。

そこへ手書きの年賀状がやってきたらどうなるでしょうか?デジタル文字が染み付いた脳みそにとってはびっくりでしょう。なんせ生活の99%を占めていた文字と明らかに違うわけですから。それがとても新鮮に感じられ、とめはねの一つ一つがしっかりと見えるはずです。「ここ力入れて書いたからインクが濃いな」「このインクのブルーはものすごく美しいなあ。深海を思わせる色だ。いいインク使っている」「ちょっと滲んでいるな?」そんなたくさんの想像する余地があります。そこに書き手の心や人となりがそのまま記録されています。そしてお正月はたいていの人は仕事がお休みです。ゆったりとしたお正月、届いた年賀状に込められた心を咀嚼するのに十分な時間があります。

年賀状はデジタルに囲まれて生活をしていて、受け取ることが少なくなったから「こそ」書くのも悪くありません。年賀状にはおいしいワインや新鮮な魚を入れることはできません。しかしそこには書き手の心を入れられます。相手のデジタルに浸かりきっている脳みそはたちまち新鮮さを覚えて年賀状を何度も何度も読み返し、そこに込められたあなたを抱きしめるように、温かい心を広げて迎えてくれることでしょう。それは手書きの年賀状という媒体を通じた心と心の包容のように、私には思えます。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。