いきなり!ステーキ人気の秘密は「不断の改善」

内藤 忍

遅めのランチをしようと2時過ぎに歩いていたら、いつも行列の絶えないいきなり!ステーキに人影がまばらだったので、入ってみました。

店内のお客様は、ほとんどが男性でしたが、中には女性一人で大きなステーキと格闘している強者もいました。

このお店の戦略は、「俺の」シリーズのお店と同じで、極めて高い原価率で商品を提供し、高回転で回収するビジネスモデルです。実際、運営会社であるペッパーフードサービスの一瀬社長も俺のイタリアンを視察して、いきなり!ステーキという型破りな業態を検討したそうです。

ステーキは肉の仕入れが命です。同店の原価率は60%程度と推定され、一般の飲食店の倍以上という高コストです。しかし来店客の平均滞在時間は30分程度となっているので回転が良く、それによって収益を確保できるようになっているのです。立って食べる立食いそばのようなイメージにしているのはそのためです。

200グラムのサーロインステーキを注文しましたが、価格は1600円。和牛ではありませんが、肉質はとても良く、焼き加減も普通のステーキ店と遜色ありません。2回目の来店になりますが、前回来たチェーン展開を始めた初期の頃よりも材料のクオリティが改善し、オペレーションも良くなっている気がしました。

グラスワインも4種類あって、500円程度とリーズナブル。店内にはジャズがかかっていて、チープな感じはあまりありません。

いきなり!ステーキが一時のブームに終わらず、リピート客をしっかり掴んでいるのは、「安かろう悪かろう」ではなく、価値のあるものを出来るだけ安くという顧客ニーズに合った経営を続けているからだと思います。

雇用に関してシニアの採用を行い、短時間の労働も可能にしたり、プリペイドカードを発行して顧客を囲い込み、リピーターを増やしたりと、工夫を重ねながら店舗数を拡大し、認知度を高めています。

ラーメンチェーンの幸楽苑が、業績不振でいきなり!ステーキのフランチャイズに転換したというニュースが話題になっていました。糖質制限ブームがラーメンよりもステーキという流れを作っている要因の1つなのかもしれません。

いきなり!ステーキの最大のリスクは回転率が下がる事です。高原価ですから、数をこなして利益を確保しなければなりません。不断の改善で顧客の満足度を高め、大量のお客様を動員する。大手にしか出来ない、参入障壁の高いビジネスです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年12月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。