こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
年明けから東京都予算の「知事査定」が始まっています。
●東京都新年度予算案 知事査定始まる 2年ぶりに7兆円台の見込み
「知事査定」とは年末までに各局からあがってきた予算要求を知事が取捨選択し、特に強調したい自分なりの「色(目玉政策)」を確立していくプロセスであると言えます。
年末に先んじて報じられたベビーシッター補助など、高く評価できる政策がある反面、疑問符をつけざる得ないものもあります。
その1つが、「英語漬けで過ごせる場所」TOKYO GLOBAL GATEWAYなるものの開設です。
小学生から高校生を対象として、8人の子どもに対して1人の英語を話せる担当者がつき、子どもたちが英語だけで過ごすことができる場所を江東区青海に新設するとのこと。
いわゆる「新たなハコモノ」の新設ですね。この予算規模は6億8千万円。
将来世代に向けた政策投資を行うことや、英語教育を強化する方向性は支持できます。
しかしながら、多くの有識者から「高コスト」「非効率」「民業圧迫」などの指摘がなされている通り、イニシャルコストだけでなくその後もずっと運営コストが生じていく「ハコモノ」を新たに作る必要性に疑問が生じます。
すでに英語学習をウリとした民間事業は都内に潤沢に存在し、そういったサービスを利用できない低所得家庭を対象として、英語教育機関だけで利用できる「英語教育バウチャー」を支給した方が合理的です。
それは移転問題などでも知事が常日頃から強調している、「民間の力の活用」にもつながります。
ランニングコストなど詳細を確認し、こうした政策提言を予算議会を通じて行っていかなければなりません。
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一方で、このような形で発表された知事の「目玉政策」を、ここから廃案に持ち込むことは極めて難しいのも事実です。
確かにハコモノは非効率だと思いますが、行政がハコモノを新設して打ち上げ花火を上げることで、それ自体が啓蒙や世論喚起につながるなど、英語学習ブームの火付け役になる効果も期待できないわけではありません(難しいと思うけれど)。
そこで、よりベターな修正案を提案するとすれば、この新たなハコモノは未だに都民からも復活ニーズの高い「こどもの城」のような子ども向けの複合施設を目指すことではないかと感じています。
(画像はWikipedia当該ページより)
「こどもの城」は児童の健全な育成を目的として渋谷区・青山に建設された施設で、室内アスレチックや劇場などのエンタメ施設に小児科クリニックなどを併設、宿泊機能も持っていた複合施設で、2015年に惜しまれながらも閉館しました。
このように子どもに必要な要素がすべてつまっている大型施設は都内には類似物がなく、復活を望む声は今も絶えません。
特に私が印象的だったのは、こどもの城を「面会交流」に利用されていた方からのこんなご意見でした。
離婚後の面会交流の場として、こどもの城を利用していた。安価で利用できて子どもが飽きずに、行政などの安全管理が行き届いている施設は他にない。多くのひとり親家庭が悩んでいる…。
こうした声に応えることのできる施設であり、そこに「英語学習」という機能がメインとして実装されているのであれば、民間ではなく行政がコストをかけて新設する意味があるかもしれません。
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いずれにせよ、まだ我々も報道ベースの情報しか手元になく、週明けから2月・3月の予算議会までの間、こうした「知事査定」で出てきた各種の政策を審議していくことになります。
本件についてはランニングコストなどを含めた具体的な構想内容を確認し、新設するのであれば費用対効果の見合うものになるよう、しっかりと政策提案をしていきたいと思います。
また追ってご報告をさせていただきますね。
それでは、また明日。
【追記】
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年1月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。