防衛力整備、NSC主導は画餅に終わる

清谷 信一

防衛力整備、NSC主導に 陸海空自要求から変更東京新聞

政府は、戦闘機や戦車に代表される防衛力整備を巡り、安全保障政策の司令塔である国家安全保障会議(NSC)が主導し決定する方針を固めた。陸海空各自衛隊の要求に力点を置いてきた従来方式を見直し、トップダウンで効率的な予算配分を目指す。政府筋が六日明らかにした。新たな戦場と位置付ける宇宙、サイバー分野や、通信妨害を目的とする電子戦を重視し、予算を振り向ける狙いもある。NSCは内閣官房に事務局を置き、装備選定で官邸の意向が一層強まるのは確実だ。

政府関係者は「各監部の『これがほしい』という声が重視されてきた」と説明する。このため政権内には「陸海空で予算が固定化する傾向がある」(官邸筋)との問題意識が広がっていた。

他国軍と比べて出遅れている宇宙やサイバー、電子戦対応では、政府は三分野の各専門部隊を統括する司令部を新設する方向。NSCは人員増強や最新武器の導入に向け、予算を手厚く配分したい考えだ。

発想は面白いけど、画餅で終わるでしょう。
そのような人材がNSCにはいませんし、これまで官邸主導でやってきたオスプレイなどの導入でかえって自衛隊を弱体化させ、また自分の手柄にしたいからと、地道な努力をせずに、大型武器の輸出案件ばかりにリソースを費やしてきた、「実績」を見るに期待は薄いでしょう。

本来必用なのは予算の根本的な再分配です。
それは装備の調達の適正化も必用ですが、そのためには調達要員の大幅な増加が必用です。
また不要な基地や駐屯地の統廃合、自衛官の早期退職勧告制度を含めた人員の適正化。
部隊の縮小も必用でしょう。

「文書」だけ読んでお勉強している、外国の軍隊の実態も知らない人たちには新しい発想は期待できません。現場の血が出るようなフレッシュな話を知りませんから。

更に申せば、大きな改革ををするとなるとて、政治家や官僚、業界などから現状維持のための激しい抵抗が予想されるでしょう。それを排除するという権力闘争は避けられない。そのような抵抗を断固と排除するような度量も、権限もNSCにはないでしょう。

むしろ道路公団改革の実績のある猪瀬直樹氏あたりをトップに据えて、防衛省と防衛産業の構造改革を担当する組織を作るべきです。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。