こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
新年会シーズンは続き、本日は東京都北区医師会の賀詞交歓会に参加しました。
スピーチをする時間をいただけたので、医療政策に関連する話題として村中璃子氏がHPV(子宮頸がん)ワクチンの安全性を検証する論文でジョンマドックス賞を受賞した件に触れながら、
「私も自らHPV(子宮頸がん)ワクチンを接種した。正しい医療知識を啓発していきたい」
と述べたところ、会場からは「おおっ!」という小さな歓声が上がり、その後多くの医師の方々に「とても期待している」「頑張って正しい発信を続けて欲しい!」との激励をいただきました。
過去記事:
男性議員だけど、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を接種してきた
こちらのブログに対しては賛成・反対・推奨・慎重など様々な立場の方からご意見をいただき、最近では駒崎弘樹さんが上梓した「ワクチンと副反応」についての記事が話題を呼んでいます。
◎都民ファーストが反ワクチン脳になりかけている件について- Y!ニュース
新年早々、びっくりすることがありました。
都民ファーストの政調会長代行の伊藤ゆう都議が、以下のような記事をフェイスブックにアップしていたのです…https://t.co/JPTd9lPYaq
— 駒崎弘樹@HPVワクチン接種済み (@Hiroki_Komazaki) 2018年1月11日
反対派・慎重派の方々が示す「副反応」の定義が世界標準と異なり、過剰な不安を誘発しかねないミスリードの要因となっている点を数字や図を用いながら丁寧に説明されており、ぜひご一読いただきたいと思います。
先にタイトルについて触れておきますと、恐らく現時点で「子宮頸がんワクチンは危険なので、推奨すべきではない!」というのが、都民ファーストの会のコンセンサスというわけではないと思います(なので、筆者の駒崎さんも断定はしていません)。
子宮頸がんについて市議会でもがん検診とワクチン接種のダブル予防対策として平成22年から推進し任意接種から公費助成に期待し平成25年に定期接種になりましたがわずか2ヶ月あまりで接種後の被害の報告が出たことで積極的な勧奨が中止。がんの罹患者減少と死亡率減少の予防重視に勧奨再開を求める立場
— 桐山ひとみ (@kiriyamahitomi) 2018年1月12日
実際、都ファ厚生部会の部会長である桐山ひとみ都議は、ワクチン勧奨再開に肯定的と取れる意見を発信しています。
党の方針として確たるものが決定する前であれば、議員個人が自分の考えを発信することは許されると思いますし、有権者の判断材料にもなります。
党の政策決定を行う役職者の方がこうした考えを持っているという点について、都民・有権者の方々に留意していただき、都政・都議会に対して積極的にご意見を届けていただければと思います。
私個人としてはもちろん、都議会の責任与党・最大会派として、都民ファーストの会には医療的エビデンスに基づいた「ワクチン勧奨再開」の方針を取っていただくことを強く期待するものです。
【情報共有】日本産科婦人科学会主催 公開講座
「市民とともに日本における子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの今後を考える」開催のお知らせ
日 時: 2018年2月3日(土)13時~16時10分(受付開始:12時30分)… https://t.co/CEi3UgijZo
— love49 (@love_49) 2017年11月20日
なお、小池百合子知事は子宮頸がん予防を呼びかける「LOVE49プロジェクト」の賛同呼びかけ人の一人でもあります。
都知事のリーダーシップによって、都政から本件で大きな動きが起こることも期待されますね。
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本件に携わって改めて感じるのは「リスク」を冷静に判断することの重要性です。
駒崎さんも記事の中で具体的な数字を上げて論証しているように、ワクチンの「副反応」とされているものを最大限に幅広く取ったとしても、発がんによる死亡を防ぐ効果が弊害を大きく上回ります。
コストベネフィットの観点からは、ワクチン接種を推奨すべきなのは明らかです。
極端な例を上げるなら、痛ましい交通事故が起きたからといって、自動車の利用をすべて禁止しろというのはあらゆる面から合理的ではありません。
被害者の救済と自動車の利便性・危険性は、通常であれば切り離して捉える方が大半だと思います。
ただ、大きな事象が発生した際、人間が理性的にリスクを判断できなくなることも確かです。
例えば、9.11の飛行機によるテロが発生した際、飛行機の利用を自粛して自動車を使う人が増えた結果、交通事故による死亡事故が増加したという有名な事例があります。
自動車の長距離運転による死亡リスクは飛行機よりもずっと高いにも関わらず、冷静な判断ができなくなる人が続出したというわけですね。
こうした人の「感情」に向き合うことは極めて難しく、ある意味では政治家の苦手分野とも言えます。
「それを実際に、苦しみ悩んでいる人の前で言えるのか!」
と問い詰められれば、ほとんどの政治家が対応に窮してしまうのが実情でしょう。
いや、議員になると逆にこういう敵を創る(票を失う)発言ができなくなっちゃうので、民間で嫌われながらゲリラ戦を戦っていく方が、公益を実現できるんですよね。 https://t.co/7liTcWCSxK
— 駒崎弘樹@HPVワクチン接種済み (@Hiroki_Komazaki) 2018年1月12日
目の前で出される訴えに寄り添い、
「◯◯の危険性については、引き続き時間をかけて議論・検証すべきだ云々」
と中立・慎重な立場を取っておけば敵は増えず、評判も下がらない。あるいは、「一人でも苦しんでいる人がいる限り、寄り添い続ける!」といえば、賞賛されることだってある。
それが政治家として生き残るための、最適解なのかもしれません。
しかし、慈善活動家なら良いかもしれませんが、社会のリーダーである政治家がそれでは絶対にいけないはずです。
1を取るために100を失うことを防ぐために、時に「冷徹」とも取られかねない決断をしなければならないこともあります。
いまこのHPV(子宮頸がん)ワクチンを巡る取り扱いは、まさにそのような政治課題の1つではないかと強く思います。
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なお、「ワクチン接種などを行わなくても、検診を奨励すれば対策は充分」という意見も多く寄せられました。
もちろん、早期検診が重要なことは論を待ちません。ただ、検診では「早期発見」をすることはできても、「予防」することはできません。
検診での発見により手術に踏み切り命をとりとめたとしても、頸部円錐切除が早産の原因となるなどの弊害が残ります。
「ワクチン(予防)と検診(早期発見)の役割は別物」であり、「ワクチンと検診、どちらも重要」というのが正しいメッセージではないかと思います。
本件についてはまた、継続的に取り上げて情報発信を重ねていく所存です。もちろん、議会での提言も行って参ります。
それでは、また明日。