就活生の間で「不採用通知」は、「お祈りメール」と呼ばれている。採用面接を受けた会社から送られてくる通知文に、「選考の結果、貴意に添えかねる結果となりました。今後のご活躍を“お祈り申し上げます”」と書かれていることから、このように呼ばれている。形式的な文面にいらだちを感じる学生が多いのだろう。
しかし、とくに消費財を扱っている会社にとって、「お祈りメール」でネガティブな印象を与えてしまうことは得策ではない。就活に失敗して不合格になったとしてもネガティブな意識を持つことなくファンでいてもらう必要がある。
「不採用通知」はこのように変化させる
これは、不採用通知の例文になる。これをもとに、「不採用通知」を受け取りながらも、ファンでいてもらうヒントを考えてみたい。
—–通常の不採用通知メール—–
○○様
先般は弊社の採用面接にお越しいただきありがとうございました。
慎重に選考を進めた結果、貴意に添いかねる結果となりました。
貴殿の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
株式会社○○物産人事部
—– ここまで —–
どこかの例文のコピペのようで味もそっけもない。気遣いや感情的な温かさも感じない。ところが、数行を付け加えるだけで「不採用通知」は変化する。
—–変化した不採用通知メール—–
○○様
先般は弊社の採用面接にお越しいただきありがとうございました。
慎重に選考を進めた結果、貴意に添いかねる結果となりました。
貴殿の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
株式会社○○物産人事部
追伸
お知らせするまでに時間がかかり申し訳ございませんでした。
さまざまに熟慮しましたが力が及びませんでした。
今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
担当:○○
—– ここまで —–
「不採用通知メール」は、選考が進んだ段階のほうがショックを受けやすい。追伸以下については、担当者の手書きにすることで印象は大きく変化する。就活生は、採用対象であると同時に、お客様である。採用担当者は、会社を代表して「不採用通知メール」を送っていることを忘れてはいけない。
採用の問題点はどこにあるのか
採用は会社と学生とのお見合いだと言われることがある。しかし、対等なお見合いではない。そのことは学生もわかりつつある。会社にとって、学生は採用対象者であると同時に、広報対象者でありお客様である。採用活動で用意された情報は「学生を吸引するために意図的に用意されたもの」であることを理解しなければいけない。
昨年、エントリーシートは「手書きが良いかパソコンで作成したものが良いか」が議論になった。しかし、自筆のエントリーシートが評価をされて内定が取得できたケースを、私は聞いたことがない。詳しく論述することは控えるが、採用と就活のあり方自体が大きく変わってきているように感じる。冒頭のお祈りメール問題もしかりである。
参考書籍
『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)
尾藤克之
コラムニスト