トランプ大統領の世界経済フォーラム(別名:ダボス会議)出席に、暗雲が立ち込めています。
行政管理予算局(OMB)のミック・マルバニー局長は20日に「ダボスに関する大統領並びに政権メンバーの予定につき、1日ごとに決定する」と発言。トランプ大統領のダボス訪問が政府機関の閉鎖を受け、もはや決定事項ではないと明かしました。トランプ大統領は24日にムニューシン財務長官をはじめとする政権メンバーやホワイトハウス関係者とダボスへ出発する予定でしたが、つなぎ予算をめぐりこちらで指摘したように民主党との溝が埋まらず、依然として打開への道は開けていません。出席できるなら、クリントン元大統領が2000年に参加して以来となるはずですが・・。
政府機関の閉鎖を受けトランプ大統領は21日、マールアラーゴでの就任1周年記念イベントをキャンセルしました。このイベントの参加費用は夫婦あるいはカップルにつき1組10万ドル(約1,120万円)で、トランプ大統領の再選費用と共和党全国委員会の選挙資金に割り当てられる予定だったといいます。
税制改革法案に署名した約1ヵ月前には、政府機関の閉鎖など想像もしていなかったでしょう。
(出所:The White House/Flickr)
ダボス会議は23〜26日に開催され、トランプ大統領は最終日の26日に演説を予定していたものの、予算協議で膠着が続けばスイスに飛び立つことなど憚れます。そもそもクリントン元大統領以降、大統領が世界経済フォーラムから遠ざかったのは、同会議に各国から首脳陣や大手企業のCEOのほか、億万長者の投資家が参加し、お金持ちクラブ(例:the exclusive club of money and power)との批判されていたことが一因ですからね。その半面、2016年は中国の習主席がグローバリゼーションの重要性を訴え、大いに注目を集めました。
トランプ大統領がダボス会議で「米国第一」のセールスマンとして登場するのか、あるいは大統領関係者がNAFTA残留に前向きな発言を伝えていたように、態度の軟化を示すステージとして活用するのか様々な憶測を呼んでいましたが、欠席となるか注目です。欠席するとなれば、レーガン元大統領のようにビデオ参加の手段を使う可能性を残します。
(カバー写真:Crossroads Foundation Photos/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年1月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。