多くの企業が自社をチームと捉え、チームプレイを重視していると公言する。人が集まり、組織となっているのだから、当たり前といえば当たり前である。特に日本企業は、終身雇用やそれに近い形の雇用慣行であり、メンバーがある程度固定され(メンバーの替えがいない)状態であり、チームとして捉えられるのも頷ける。
その上で、私はチームには2種類の型があり、それぞれマネジメントの考え方が大きく異なると考えている。1つの型は「チーム戦型」である。これは、スポーツでいうとサッカーやラグビー、バスケットなどが当てはまる。2つ目の型は「団体戦型」である。これは、スポーツでいうと柔道や剣道、卓球など(の一部)である。では、この2種類のチームの型ではチームプレイのあり方はどのように違うのだろうか。
例えば、交代がいない状況(日本型の雇用慣行に習う)で、「メンバーの1人の足が、軽くこむら返りを起こしてしまった」という状況を想像してほしい。
1つの型である「チーム戦型」では、そのメンバーのこむら返りがそれ以上ひどくならないようにケアすることが最重要になるだろう。なぜなら、1名減で相手と戦わなければならないことになれば非常に不利になるからである。ここで求められるチームプレイは、こむら返りを起こしたメンバーの足をストレッチしたり、あまりパスを回さないようにするなどのケアをすることになるだろう。
一方、「団体戦型」ではどうだろうか。団体戦では、メンバーの一人が減ってしまっても、他のメンバーががんばることで、勝利することがチーム戦より容易である。「団体戦型」のチームで最重要なポイントは、こむら返りを起こしたメンバー以外のメンバーが集中して、それぞれ勝利することである。だから、ここでのチームプレイはこむら返りを起こしたメンバーの足をストレッチしたりケアすることではないのである。
繰り返すが、多くの企業が自社をチームとして捉え、チームプレイを重視している。しかし、あなたの会社が「チーム戦型」か「団体戦型」かによって、求められるチームプレイはことなるのだ。
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伊藤 将人 人材系シンクタンク勤務
大手新聞社入社後、人材系シンクタンクに転職。また、フリーライターとして各種執筆活動に従事。