受験のプロが指南!勉強をするなら無謀3兄弟を撃破せよ

尾藤 克之

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「だんご3兄弟」をご存知だろうか。『おかあさんといっしょ』(NHK教育テレビ)に出演していた、速水けんたろう、茂森あゆみが歌って大人気となった子供向け童謡になる。累計売上はオリコン集計で291.8万枚、KARAO.COM集計で約324万枚。出荷枚数は380万枚。当時のオリコン歴代シングルチャート3位(現在は5位)を記録した。

「もっとも危険なのは『だんご3兄弟』ではなく、『無謀3兄弟』です」と熱く語るのが、税理士の石川和男さん。今回、紹介するのは近著の『人生逆転! 1日30分勉強法』(三笠書房)。石川さんに関しては、これまでもインタビュー記事をアゴラで紹介している。

「無計画野郎」について

石川さんによれば、受験の世界には、甘くて美味しい「だんご3兄弟」ではなく、「粗暴で無謀な3兄弟」が存在するという。どのような兄弟なのか聞いてみたい。

「無謀3兄弟の長男は、計画も立てずに思い立ったら突き進む『無計画野郎』です。試験には、受験日というタイムリミットがあります。しかも、テキストをじっくり読んで理解する時期、問題集を中心にアウトプットをする時期、模擬試験で客観的に自分の実力を見つめ直して修正する時期など、日程との戦いでもあるのです。」(石川さん)

「無計画では実力があっても受かりません。私の場合、大学受験のときの受験科目は、国語と英語、それに日本史でした。日本史の受験勉強は、まさに八方美人。この参考書も買おう。この問題集から出るかも。この参考書は誰か持っていたな。いろいろなものに手を出していました。しかも綺麗にサブノートまで作っていました。」(同)

しかし出題されたのは違う場所だった。国語、英語が合格点に達している手ごたえがあっただけに残念な結果になってしまったと、石川さんは答えている。

「試験後になって、赤本を知りました。計画を立てない勉強は、どこまで行けばゴールなのかもわかりません。真っ暗な闇の中で勉強しているようなものです。」(石川さん)

「ぶっつけ本番野郎」について

つぎに紹介するのは、準備をせずに本試験に挑む次男の話になる。

「無謀3兄弟の次男は、模擬試験も受けずに本試験に挑む『ぶっつけ本番野郎』です。あなたが高校の野球部員だとします。朝は準備運動にランニング、腹筋に腕立て伏せで基礎体力を養います。昼休みにはキャッチボール。午後からは、バッティングマシーンやトスバッティングで日が暮れるまで練習をします。毎日、練習漬けです。」(石川さん)

「準備万端!いざ甲子園を目指しての地区大会。結果は残念ながら初戦敗退。他校に引けを取らない練習量なのに、なぜ残念な結果に終わったのか。それは練習試合という実戦を踏んでこなかったからです。連携プレイも本番の緊張感も味わえずに個々の実力があっても力を出し切れずに終わるのです。」(同)

これは試験も同じである。普段テキストを読んで理解し、単語や用語の暗記をし個別の問題を解き、日々努力もしている。70点くらい余裕だろうと思っている。

「模擬試験を受けていないので、『ぶっつけ本番野郎』です。場慣れしていないので極度の緊張。100人もいる大会場。思ったより小さな机にA3の問題用紙。試験の雰囲気に慣れるために受けるのが、模擬試験なのです。」(石川さん)

「見直さない野郎」について

そして、最後のトリをかざるのは「見直さない野郎」になる。

「無謀3兄弟の末っ子は、せっかく模擬試験を受けたのに、見直しも解き直しもしない『見直さない野郎』です。見直す大変さから逃げている幼い野郎です。模擬試験は、各専門学校が長年の経験と独自のデータを基に、今回の本試験で出題される問題を予想して作っているのです。そんなお宝問題を解いたまま放置してはいけません。」(石川さん)

「仮に模擬試験の得点が50点だったとします。見直しをしないまま挑んだ本試験で、同じ問題が出題されたらどうでしょうか。同じ問題が出題されたにもかかわらず、見直しをしなかったために、模擬試験と同じ50点しか取れないのです。それどころか、模擬試験から何日も経過しているので50点未満かもしれません。」(同)

どんなに面倒でも、ひとふん張りしなければいけない。点数が低ければ気も滅入るだろう。しかしここで、見直さないと合格にこぎ着けることはできない。

「ここで注意するのは、2時間かけて解き直さなくてもいいということです。見直しただけでもいいのです。1問解いたら解答を見て解説を読む。模擬試験の見直しは模擬試験を受けることそのものと同じぐらい重要です。」(石川さん)

受験生の皆さまは「無謀3兄弟」にならないように注意が必要だ。そして、これから始まる受験シーズンを迎えてほしい。さて、筆者も1月に新しい本を上梓したので、関心のある方は手にとっていただきたい。石川さんとは、同じ版元で同じ担当者。1週間違いの出版となった。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)。

尾藤克之
コラムニスト