【映画評】ザ・リング/リバース

渡 まち子

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“見た者は必ず7日後に死ぬ”と言われる呪いのビデオを恋人ホルトの身代わりになって見てしまったジュリアは、呪いを断ち切るため、ホルトと協力しながら、呪いのルーツを調べ始める。やがて彼らはわずかな手がかりを頼りに一人の少女にたどりつくが、それを機にさらなる恐怖に引きずり込まれていく…。

ジャパニーズ・ホラーの金字塔「リング」シリーズのハリウッド版「ザ・リング/リバース」は、ハリウッドリメイク版としては第3弾となる。呪いのビデオはパソコンに取り込まれファイルデータになっているなど、現代的な味付けはなされているが、基本的には日本版と同じだ。サマラの生い立ちは貞子に近くなっているし、7日間のタイムリミットまでに呪いを解こうと奮闘するという設定もオリジナルに忠実なものである。

鈴木光司原作の小説「リング」の刊行は1991年、日本映画「リング」が公開されたのは1998年だから、映画ファンはかれこれ20年近くこの呪いのビデオに付き合っていることになる。日本では「貞子3D」や「貞子VS伽椰子」など、もはやイベント化してきた感があるが、そんな中、本作は原点回帰を目指したというだけあって、キワモノ感は薄く、むしろ日本版に敬意を表す作りだ。ただその分、見慣れたものを見ているイメージがあり恐怖感が乏しくなったのは残念。とはいえ“誰かに見せることによって呪いから逃れる”というプロットは、国内外を問わずリメイク、リブートされ続ける本シリーズの本質と重なる。まさに“呪いは終わらない”のだ。
【50点】
(原題「RINGS」)
(アメリカ/F・ハビエル・グティエレス監督/マチルダ・ルッツ、アレックス・ロー、エイミー・ティーガーデン、他)
(恐さ度:★★☆☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2018年1月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。