「ネットフリックスを脅かすか、ブロックチェーン動画配信」という日本経済新聞の記事が出ていました。
これを読んで、「中央集権型ビジネスモデル」の終焉が想像以上に早くやってくるのではないかと思いました。
ブロックチェーンでは、本記事にあるように「世界中のコンピュータがP2Pネットワーク」(私はPtoPと思っていました)でつながり、中核的なサーバーは存在しません。
具体例を挙げると、A、B、C、D、Eという五人がいるとしましょう。
現在は、5人の真ん中にXという中央集権的な存在がいて、5人は全てXとだけつながっています。
AからBに連絡をするにも、Xを間に介さなければなりません。
Facebookやメッセンジャーで連絡を取り合う際、必ずFacebook等にアクセスする必要があることを考えれば容易に理解できるでしょう。
ブロックチェーンの繋がりは、A~Dの5人がそれぞれ繋がるのです。
5角形の外側と内側の線を全部つないだものとイメージすればわかりやすいでしょう。民法をかじったことのある人なら、組合契約をイメージすれば分かりやすいでしょう。
シェアリングエコノミーが昨今台頭していますが、現在はすべて中央集権的ビジネスです。民泊のエアビーもライドシェアのウーバーも、それぞれの中央にアクセスしなければなりません。
ブロックチェーンで「分散型システム」になれば、必要なのは出会いを仲介するプラットフォームだけになります。
クラウドファンディングのように、出資者と起業家の橋渡しだけはするけど、契約はあくまで当事者同士、責任も当事者同士という関係になります。プラットフォームは何ら責任を負わないので、コストが安い分手数料も破格に安くなります。
これが可能になるのは、ブロックチェーンが正直な履歴だからです。相手の信用力はブロックチェーンの正しい履歴で確認できるので、中央機関を保険代わりにする必要がありません。
少し前、BtoCによって卸売業などが大打撃を受けました。酒類の卸売りのようにほとんど消滅してしまった業種もあります。
物品や情報を仲介することによって利益を得ているビジネスは、ことごとく消滅するか、今より遙かに安価なプラットフォーム利用料で生きていくしかありません。
逆に、コンテンツや物品等の生産者は、中抜きをされない分大きな利益を上げることができるはずです。生産者の地位が復権し、仲介者の地位が低下する。お金の仲介をしている金融業も大きな打撃を受けるはずです。
生産者と消費者にとっては、(中抜きコストを節約できる)素晴らしい時代が到来するのかもしれません。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年2月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。