「残された時間は半分だ」という現実を認識する!

学生時代、夏休みや冬休みに「計画倒れに終わった」を経験した人は少なくないと思います。

かくいう私も学生時代は「計画倒れに終わった」経験ばかりです。これは処理能力の問題ではなく、人間の認知の歪みが原因なのです。

1979年に、行動経済学者であるダニエル・カーネルマンとエイモス・トベルスキーが「プランニングの誤謬」として発表しました。

学位論文を書くのにどれだけの時間が必要かと問われた学生たちは平均して33.9日、最悪の事態を想定しても平均48.6日で完成すると回答しました。

ところが、実際にかかった時間を後刻平均すると55.5日になったのです。

「プランニングの誤謬」は、人間は未来にかかる時間の想定を一貫して楽観的に間違う傾向を持つことを解明しました。

いくら現実的に見積もったつもりでも、その見積もりは認知のレンズで歪んでしまうのです。

拙著「最強の勉強法」でご紹介した方法論の一つは、試験までの「可処分時間」を計算し、こなしたい課題にかかる「必要時間」を計算することです。

「可処分時間」と「必要時間」を比較すると、その差に愕然とします。あまりにも「可処分時間」が少ないので、泣く泣く課題を絞り込む必要があるとご説明しました。

この方法は、楽観的に多めに見積もってしまう「可処分時間」が現実にはいかに少ないかを自覚し、達成可能な計画を立てるためのものです。この方法を採用してから、私はようやく「残念な計画倒れ」から解放されることになりました。

「プランニングの誤謬」は、勉強だけでなく仕事や人生計画にも必ず付きまといます。

「1週間もあればできるだろう」と思っている仕事のほとんどは1週間では終わりません(想定外に容易であれば別ですが…)。

ですから、直感的に見積もった時間の2倍程度を予め予定しておくか、先に紹介したように「処分可能時間」と「必要時間」を計算することを強くお勧めします。

恒常的に残業をしないと仕事が終わらないという人も、おそらく「プランニングの誤謬」に陥っているのでしょう。

終業時間までに仕上げられると思った仕事のほとんどは終業時間までには終わりません。

仮に1日を1つの仕事に集中するとしたら、午前中に7割くらい終わらせる勢いでこなしていく必要があります。不測の事態が割り込んでくることも想定すれば、午前中に8割くらい終わらせる勢いが必要かもしれません。

人生もこれと同じです。

「やりたいこと」をたくさん後回しにしておくと、現実の「処分可能時間」では半分もできないのが現実です。

ですから、あなたにとって是非ともやりたいことがあるのなら、今すぐ始めることをお勧めします。

最短で結果が出る最強の勉強法 (講談社+α文庫)
荘司雅彦
講談社
2014-02-14

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年2月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。