(ロイター)日本が20機以上のF-35A追加調達へ、国内組立取りやめも=関係者
日本政府は、米国から最新鋭のステルス戦闘機「F-35A」を20機以上追加購入する方向で調整に入った。調達費が割高になる国内での最終組み立てを取りやめ、完成機を輸入することも検討している。これとは別に、垂直に離着陸可能な「F-35B」の購入も米国側と協議している。
しかし、その場合の調達価格は1機約130億円と、完成機を輸入するより数十億円規模で割高になるため、追加購入分については国内での組み立てをやめる案が浮上している。
以前から申し上げておりますが、ぼくはF-35を導入するならば輸入にして安価で迅速に調達すべきだと主張してきました技術移転も、コンポーネントの生産も殆どなく、単に値段を高くして、戦力化を遅らせることに何のメリットがあるのでしょうか。民主党政権当時の森本大臣ら含めた無能のなせる技です。
初度費も25年度が830億円、26年度が425億円、27年度が177億円、これまで合計1432億円掛かっています。
初度費というのは実は本当の初度費ではなく、今後も発生する可能性があります。現時点でも42機調達するのであれば1機あたりの初度費は34億円であり、現在の調達単価が約160億円ですから、一機あたりの調達単価は200億円近く、米軍調達の役2倍になります。
森本大臣は調達が遅れればF-4EJ改を地上で留め置けばいいとテレビで仰ったわけですが、時間と抑止力の概念を理解していないということです。飛ばない飛行機、新鋭機が旧式化しても抑止が効くなら空軍博物館をつくれば抑止が維持できることになります。
必要な機数をいつまでに戦力化できるのか、これは装備調達の常識ですが、大臣も防衛省も自衛隊もその意識ない。調達自体が目的化しており、平和ボケもいいところです。
そして防衛省はF-35を調達することで日本の戦闘危機生産基盤を破壊しました。これで国産戦闘機を開発生産したいというのですから、妄想もいいところです。
ぼくは、FXはユーロファイターをライセンス国産し、F-35は量産化が始まってから、F-35Bを調達すれば宜しいと主張してきました、そうすれば戦闘機の製造基盤は維持され、将来の戦闘機開発でも単独は無理にしろ、共同開発でも相応の交渉力を得られたでしょう。そして既にF-35Bの調達の検討が報道されています。
戦闘機の生産基盤を自ら破壊し、輸入で済む戦闘機をわざわざ高値で組み立てて調達し、そのラインを維持するためにただでさえ遅れている新型機の調達ペースを下げているわけです、旧ソ連ならばシベリア送りか銃殺だと思いますがね。
技術移転もなく、将来のないもつながらず、単に値段をつり上げるだけの組み立て生産は全部中止にすべきです。
仮にAH-XでAH-64Dが選ばれるならば既存機の改修以外の機体は輸入にすべきです。また海自のUH-XでもA101が本命視されていますが、これも輸入で行うべきです。
同様にチヌークなどの生産も輸入に切り替えるべきです。
これが途上国で、組み立て生産から始まって、次第に内製化率を増やして、やがては自主開発という未来があるならば別ですが、我が国の防衛産業の多くの分野でそのような将来は展望できません。技術移転もないので、現在の技術基盤の維持にもなりません。ただ税金を垂れ流しているだけです。
こういう冗費は削り、サイバーやネットワーク、情報化などに投資すべきです。
それができないならば防衛費を削減して、子育てや国の借金の返済にあてるべきです。
■本日の市ヶ谷の噂■
陸自の広帯域多目的無線機は第2師団で2メートル距離でも通じない、伏せると通じないなど悪評プンプンとの噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年2月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。アイキャッチ画像は産経新聞サイトより。