「本気じゃなければ伝わらない」児童養護ボランティアの覚悟と尊さ

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

本日は北区赤羽にある児童養護施設「星美ホーム」が主催するトークイベントに参加を致しました。

星美ホームは2014年秋に初めて訪問し、私がここまで児童養護・社会的養護の分野にコミットするきっかけを作ってくれた場所でもあります。

●児童養護・社会的養護に関わる過去ログはコチラから。

今日のイベントでは何らかの事情で保護者と暮らせなくなった「要保護児童」を対象として、記念日を祝福したり、晴れ袖姿を撮影したり、あるいは施設への定期交流を通して支援を続ける3つのボランティア団体がそれぞれ活動報告を行いました。

ACHA プロジェクト
https://achaproject.org/ 
イチゴイニシアチブ
https://www.facebook.com/ichigo.initiative/
星の子キッズ++
http://seibi-kids.com/

社会福祉に関わるボランティアは、実は非常に繊細で難しい面も持っています。

私も東日本大震災の時にNPO団体を設立し、被災地ボランティアを行っていた際、

「求めているのは継続支援だから、単発であれば申し訳ないけれど遠慮して欲しい
「本当に来れる確約がないなら、被災者に『また来ます』『またね』などの言葉は言わないで

ということを、何度も何度も言われたことがあります。

特に児童養護・社会的養護の分野では、対象となる要保護児童の多くは児童虐待を理由として保護されていることが多く、極めて繊細な状態にあります。

どれだけ素晴らしい内容のボランティア支援でも、一度限り、あるいは数回訪れて来なくなってしまうようでは、

「やっぱり大人は、すぐいなくなってしまうんだ」
「結局は、信頼できる人なんていない」
「もしかしたら、自分の方に何か原因があったのでは…」

など様々な感情を惹起してしまい、良いことをしているはずがむしろ発育・成長にとってマイナスになってしまうことにもなりかねません。

長いスパンをかけてゆっくりと成長していく子どもたちにとって、何よりも「継続」が求められるのです。

イベント後半のグループディスカッションでは、本業の傍ら休日をほぼ返上してずっとボランティア支援を続けている団体主催者の方に対して、司会者が「どうしてそこまでできるんですか?」と聞いた際に

「本気じゃなければ伝わらないから」

と答えていたことが、とても印象的でした。

心に複雑な感情を抱えた子どもたちと向き合い、信頼関係を築くためには、漫然とただやる・継続するだけではダメ。

「どうしてここまで…?」と施設職員さんから思われるほど強い想いでやって初めて、子どもたちの心に本当に必要な支援が届くのかもしれません。

これは児童養護のみならず、あらゆる活動にも言えることであって、「伝える・伝わる」というのは実は極めて難しいことです。

私も日々の活動に、どこかまだ欠けているものがあるのではないか、自分が伝えたい想いや情報が伝わっていないのではないか、改めて見直すきっかけにしたいと強く感じた次第です。

こうした児童養護・社会的養護においては素晴らしいボランティア団体が多数存在する反面、人材面や金銭的な事情から継続が難しいことも事実です。

私がこの分野で視察に訪れた欧州各国では、行政だけではなく民間のプレイヤーが社会的養護の分野において非常に重要な地位を占めていました。

全国で約3万5千人、東京都だけでも4,000人いる要保護児童たちすべてに必要十分な支援を行き渡らせるためには、行政機関だけでは手に余ることは明らかです。

こうした民間団体の継続活動を支援するために行政側にできることはないか、いくつか考えていることもありますので、行政サイドと確認してまた順次お伝えしていきたいと思います。

ぜひ皆様にもこの児童養護・社会的養護の分野に目を向けていただき、寄付や活動への参加という形を検討していただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年3月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。