伝統的な資産運用は、株式と債券を組み合わせて、株式でキャピタルゲイン(値上がり益)を狙い、債券でインカムゲイン(金利収入)を狙う方法です。
2つの資産が逆方向に動くため、分散効果があり、バランスの良いポートフォリオと言われていました。
しかし、この伝統的な方法は2つの問題に直面しています。
1つは、世界的な低金利で、債券の利回りが低下し、債券から思ったような金利収入が得られなくなっていることです。
そしてもう1つの問題は、株式と債券の相関関係の変化です。逆相関で分散効果があると思われていたのが、逆に連動性が高まりつつあるのです。日本経済新聞記事に掲載されていたデータ(図表も同紙から)によると、株式と債券の価格が逆に動くというのは、1990年代後半から定着した傾向で、それまでは同じ方向に動いていたことがわかります。
その原因はわかりませんが、何らかの対策を講じる必要があるのは確かです。
そこで私が実践しているのが、債券の代わりに(一部は借入を使って)不動産を組み入れる方法です。
実物不動産は金融商品より流動性は落ちますが、長期保有が前提ですから流動性はあまり問題になりません。
問題は、株価と不動産価格の相関関係です。どちらも金利が上昇すれば価格は低下する傾向があり、インフレに強いという共通点があり、相関係数は高そうです。
不動産も債券と同じように、株式との分散効果に限界があるのです。
しかし、ここで考えるべきことは、金利とインフレの関係です。金利とインフレには4つのパターンが考えられます
1.金利が上昇せず、インフレにならない
2.金利が上昇せず、インフレになる
3.金利が上昇して、インフレにならない
4.金利が上昇して、インフレになる
1.は現状のマーケット環境のままですし、2.と4.はインフレに強いと言われる、株式や不動産には悪い話ではありません。
困るのは3.です。しかし、金利が上昇して、インフレにならないというシナリオの実現可能性がどの程度あるのでしょうか。私は可能性が低いと思っています。
ポートフォリオに不動産を組み入れるという資産運用は、このように考えていくと、負けにくいというのが私の考えです。投資初心者で、不動産の具体的な投資方法を知りたい人は、こちらの書籍が参考になります。
資産運用している人も、これから始めようとしている人も、もし金利が上昇し、インフレになったら、自分の持っている資産はどうなってしまうのか?まずは、4つのパターンで、頭の体操をしてみてください。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年3月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。