安倍主犯という捏造された“物語”:財務省と会計検査院こそ改革の本丸

財務省文書問題で国民に陳謝する安倍首相(首相官邸サイトより:編集部)

1. 詐欺事件であっても疑獄事件ではない森友学園

本日(3月13日)午前8時から2時間にわたり、財務省理財局、国交省航空局、会計検査院の3者からヒアリングを行い、森友学園事件の大きな枠組みが分かってきました。朝日新聞は、あくまでも昭恵夫人の関与を背景に財務省が公文書を改ざんしたという偏向ストーリーを拡散し続けていますが、事実は相当異なります。

朝日新聞の偏向ストーリーでは、まず昭恵夫人の関与が物語の中心にあり、それを隠蔽するために政治主導で公文書が改ざんされた、となります。しかし実際は、国有地払い下げ自体は違法でもないし、昭恵夫人の関与も名誉校長としての形式的なものに過ぎず、政治家の要求も近財はゼロ回答で退けています。

つまり、昨日公表された財務省の調査結果と今朝のヒアリングから分かったことは、森友学園事件が、籠池夫妻による詐欺事件ではあり得ても、政治家による疑獄事件ではない、ということです。財務省理財局と近畿財務局によるスーパースペシャル忖度はあったけれど、手続きはしっかりと踏んでいたのです。

2. 国民をバカにする財務省は解体し歳入庁創設を

ところが財務省理財局は、昨年2月17日の衆院予算委で安倍総理が「私や妻が関係していたら首相も国会議員も辞める」と啖呵を切ったのを受けて、佐川理財局長の答弁が極度の守りに入り、それに合わせて、昨年2月下旬から4月にかけて、あろうことか、決裁文書の方を改ざんしてしまったというのです。

絶対に看過できない酷い行政です。今般の財務省スキャンダルで佐川氏は、国会と国民をあなどり、虚偽答弁を繰り返し、「答弁に合わせて」(麻生財務相)決裁文書を書き換えたというのです。こんな官僚の暴走が許されるような行政機構では、国民が安心して生活を委ねることなど出来るわけがありません。

日本維新の会は、既に歳入庁設置法案、公文書管理強化法案を国会に提出していますが、国民を騙すことが出来ると思えるまでに増長した財務省の体質を根本から改革するためには、この際、歳入と歳出とを機能分離し、社会保険を併せた歳入庁の創設に踏み切るべきです。公文書管理も大胆に強化すべきです。

3. 職責を果たさない会計検査院は国会の附属機関に

今朝のヒアリングで明らかとなった最も重要な点は、会計検査院の機能不全です。参院予算委からの要請を受けて会計検査院が検査を本格化させたのは昨年3月6日ですが、4月26日に会計検査院は(財務省が提出した改ざん後の決裁文書の他に)国交省航空局から改ざん前の決裁文書を入手していたのです。

今年に入って検察あるいは理財局が朝日新聞にリークする、その遥か以前の昨年4月26日の時点で、会計検査院は、2種類の決裁文書を入手していたのです。即座に財務省本省に問い合わせたようですが、手元にある決裁文書の不正を完全に見逃し、佐川理財局長主導の隠蔽に事実上加担してしまったのです。

会計検査院は、国会にも裁判所にも属さず内閣からも独立した憲法上の機関(憲法90条)として国の会計を検査し監督するのが任務ですが、その職責を全く果たしていないことが分かったのです。この際、米国会計検査院(GAO)のように議会に附属する機関にする等の抜本改革が必要ではないでしょうか。

4. 「昭恵夫人が関与」「安倍総理が主犯」という“物語”

森友事件は様々な問題を提起していますが、朝日新聞はじめマスコミや立憲民主党はじめ野党6党のように「昭恵夫人の関与」という“物語”を捏造すべきではありません。昭恵夫人が籠池被告に利用され理財局がスーパー忖度したのは事実でも、昭恵夫人が積極的に動いた証拠は、終ぞ見つかっていないのです。

大事なことは、1)昭恵夫人を忖度しスーパースペシャル契約を締結した財務省の裁量の大きさであり、2)昨年2月の安倍総理答弁を機に総理をスーパー忖度した佐川氏が公文書の改ざんまでやってのけた事実であり、更には3)昨年4月に2種類の決裁文書という不正を見逃した会計検査院の機能不全です。

本日午後の野党6党ヒアリングで希望の山井和則議員は「安倍総理が主犯」と酷いレッテル貼りを繰り返しました。彼ら彼女らが財務省改革や会計検査院改革ではなく政局に拘泥し続けるのであれば、私は、やっぱり野党6党は、国民が大事なのではなく、国政の混乱にしか関心ないのだと断じざるを得ません。


編集部より:この記事は、衆議院議員・足立康史氏の公式ブログ 2018年3月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は足立氏のブログをご覧ください。