安倍政権を揺るがす森友文書事件の「3つの謎」

大阪府豊中市の国有地が学校法人森友学園に格安で払い下げられた問題は、ここ1年以上、国会で取り上げられてきた。これは近畿財務局の1億3400万円の売却物件で、国会でいつまでも騒ぐ話ではなかったが、3月2日に朝日新聞が「森友文書 書き換えの疑い」というスクープを出し、局面が一変した。

それを受けて財務省は「書き換え」を認め、今週になって出してきたのは、14の決裁文書を310カ所も書き換えたという驚くべき話だ。役所が決裁文書を改竄するのは公文書偽造という犯罪であり、これは政権を揺るがす大スキャンダルだが、なぜこんなことが起こったのだろうか。まだこの事件には謎が多い。

なぜ財務省の文書だけ改竄したのか

それは最初は大した問題ではなかった。森友学園の籠池泰典理事長が、学校名を「安倍晋三記念小学校」にするとか、首相夫人の安倍昭恵さんを「名誉校長にする」という話はあったが、これは森友側の宣伝に名前が利用されただけで彼女の責任ではなく、まして首相とは無関係の話だ。

ところが2017年2月19日の衆議院予算委員会で、安倍首相が「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員もやめる」と断言したことから、問題が大きくなった。その後も財務省の佐川宣寿理財局長(当時)が「文書は破棄した」など事実と違う答弁を繰り返し、問題は思わぬ方向に広がった。

ここから先は何が起こったかはっきりしないが、財務省の報告書によると、2月下旬から文書の「差し替え」が始まったという。今週出てきた「原本」によると、昭恵さんから「いい土地ですから前に進めてください」とのお言葉をいただいたという籠池理事長の話など、昭恵さんに関連する記述が、改竄後の文書からすべて削除されている。

これは昭恵さんが圧力をかけた証拠にはならないが、名前を利用されたという「関係」はあったことになる。首相が「総理大臣をやめる」というのは重大発言であり、わずかな「関係」の証拠も見せてはならないと財務省は思ったのだろう。

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