やはり電車の中でのお化粧はマナー違反のようである

尾藤 克之

写真は西出さん(KEYABINGO!2/日本テレビより)

2018年3月中旬に差し掛かった。そろそろ本格的な春を迎えて、新年度の準備で慌しくなる。新人社員には必要なことはマナーと考えている人も少なくないだろう。社会人としてのマナーを学ぶよい機会でもあるので基本を抑えておきたいもの。

今回は、『ビジネスでもプライベートでも知っておきたいマナーの基本』(マイナビ文庫)を紹介したい。著者はマナー講師の西出ひろ子さん。主な実績として、28万部のベストセラーを記録した『お仕事のマナーとコツ』(学研)、「NHK大河ドラマ・龍馬伝」のマナー指導など幅広い。日本でもトップクラスのマナー講師としても知られている。

乗り降りの際には挨拶をしよう

「英国では、バスに乗車する人たちは、運転手に向かって必ず運賃を払う前に“Hello”と挨拶をします。すると、運転手も笑顔で挨拶を返してくれます。また、降りるときぱ“Thank you”と言って降り、運転手もそれに応えてくれます。日本ではどうでしょうか?幼稚園のお迎えバスではありますが、一般のバスではなかなか見られません。」(西出さん)

「マナーは、特別な場所で行うものではなく、そのしぐさや言動は日常生活の中に定着しているものです。そこで、私は日本でバスに乗り降りするときに、運転手への挨拶を行っていますが、残念ながらそれに応えてくれる人はほとんどいません。」(同)

――飛行機であれば、朝の便だと乗員が気持ちよく「おはようございます」と迎えてくれる。しかし、この挨拶に返す日本人は少ない。他の交通機関ではどうだろうか。

「電車ではどうでしょうか。電車に乗り降りするときは、さすがに車掌への挨拶はなかなかできないものです。そこで、私は乗り降りするときに、軽く会釈をするようにしています。それは、乗るときも降りるときも出入り口付近には人が立っているからです。運賃を支払っているにせよ、乗り降りときには、挨拶はしたいものです。」(西出さん)

「また、我先!とばかりに人を押しのけて、前にいる人を無視して乗り降りする人はマナー違反。急いでいるのはわかりますが、それならば、早めに行動するのがマナーです。すると時間に余裕ができるので、髪の毛を振り乱して慌てることもありません。自分よりも相手優先の『お先にどうぞ』の精神をお忘れなく。」(同)

電車の中でのお化粧はマナー違反

「マナーとは、自分以外の人の立場にたって、その人がどう思い、どう感じるかを察し、相手を不快な思いにさせないように自分のとるべき言動を表現することです。ですから、電車などの公共の場所では、自分の欲求をおさえることが大切なのです。基本的に、電車やバスなどの乗り物内では、お化粧は控えます。」(西出さん)

「大きな荷物を持っているときは、他人に迷惑がかからないような配慮をしましょう。英国オックスフォードの路線バスは、大きな荷物を置く場所が専用スペースとして設置されています。公共マナーに配慮した素晴らしいシステムだと感心します。」(同)

――新聞やテレビからニュースが流れるとき、その舞台が電車の車中で起きる事件も少なくない。化粧をしていた、肩が当たった、音楽がうるさい、子どもが騒ぐ、赤ちゃんが泣き止まないなどの理由から、事故へと発展してしまう。

「マナーはお互いさまですから、マナーは寛容な心を持つことも大切です。一方で、自分が問題の原因とならないような配慮をすべきです。音楽を聴くときは、どの程度のボリュームだと周囲の人に音が漏れるのかを、電車に乗っているときに試してみたり、自分の子どもが騒いでいたら、おとなしくさせたりするようにしましょう。」(西出さん)

「人は、相手を思いやるマナーを意識することで心を磨き、礼儀や作法、臨機応変な心配りができる知識や教養を身につけ、それらを知恵として自分の生活と人生に役立てていくものです。最も大事なことは、それにとらわれることなく、相手が望み、喜んでくれることを提供し、その結果、貴方自身もプラスを得ることです。」(同)

マナーは文章だとわかり難いかも知れないがご注意を。なお、マナーのある文章を書くには拙著も役立つかも知れない。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)

尾藤克之
コラムニスト