理科は『教科書が最高の参考書』である

写真左が藤野さん、右は版元の佐藤副編集長(永岡書店)

勉強嫌いの子どものお母さんたちに共通することがある。それは、子どもの遊びを制限し過ぎること。受験を控えたお母さんたちによく見られる傾向だ。勉強が苦手な子どもや、一度勉強嫌いになってしまった子どもの、やる気を取り戻す方法に注目されている。本記事は、「理科」の学習方法について解説したい。

今回は、『勉強しなさいと言わずに成績が上がる!すごい学習メソッド』(永岡書店)を紹介したい。著者は、藤野雄太さん。ナディア・コマネチなどを育てた「伝説の体操コーチ」、カロリー夫妻の日本人唯一の弟子である故・野村るり子氏に師事。子どもの才能を開花させる指導法を塾経営者や母親に伝えるための個別指導塾を運営している。

短期間で成績が改善した学習法

――藤野さんによれば、理科は5科目のなかで最も短期間で成績を上げられる科目とのことだ。指導塾で入会後2か月で、20点から90点になった生徒がいる。

「なぜ、たった2か月で70点もアップしたのか。答えは、教科書中心の学習をしたからです。塾の先生が言うのも変ですが、理科で最強の参考書は学校の教科書です。市販されている参考書でも塾のテキストでもありません。これほど写真や図が載っていて、わかりやすくまとめてある参考書はありません。」(藤野さん)

「その意味では、社会も同じことが言えるのですが、理科の教科書のほうが社会の教科書より読解が楽です。社会のような難しい漢字はあまり登場しません。」(同)

――さらに、理科と社会の違いについて次のように解説する。とくに、教科書を読んで理解することの重要性が理解できるのではないかと思う。

「まず、社会ほど覚えることが多くはありません。教科書を読んで理解する、用語を暗記する、問題を解く、の3ステップで即点数が上がるのです。とくに重要なのは1つ目の『教科書を読んで理解する』です。理科·社会の授業では、解説授業はしません。なぜならば、解説授業は必要ないからです(物理、化学の一部の分野を除く)。」(藤野さん)

「やっているのは、子どもたちに教科書の正しい読み方を教えて発表させるだけです。いま、流行りのアクティブ·ラーニングです。今後は大学入試改革により、学校教育ではアクティブ・ラーニングが加速することは決定済みですので、『教わる』のではなく、主体的に学ぶクセをつけましょう。理科は、教科書が最高の参考書です。」(同)

教科書を最大限に活用する

さらに、藤野さんは教科書を最大限に活用することのメリットを次のように解説する。

「自分から『学び獲る』理科の学習法を紹介しましょう。最初は、単元ごとに、テーマを疑問文で立てます。教科書の1つの単元は、たいてい2~3ページです。まずは、教科書を単元ごとに読み、テーマを考えます。この単元は何について説明しているのかを読み取ります。そして、整理してテーマを書き出していきます。」(藤野さん)

「また、学校での授業で理解を深めてから教科書を中心とした学習をすることにより、学習効果が高まります。学校の授業で使用しているプリント、ノートなども並行しながら、何度も復習してください。理科の中学校の定期テストは、先生の趣味が強く反映されるため、対策が入試ほど容易ではありません。」(同)

――入試の問題はプロが作成するので予想がし易い。学校のテストは先生によって出題傾向が大きく変化する。これを踏まえた対策が必要になってくる。また、藤野さんは、最初から学ぶことや勉強が嫌いな子どもなどいないと主張する。親や先生に強制されたり、わからないところがあるから嫌いになっているだけであると。

「実際に私が経営している個別指導塾では、定期テストの2週間前には、子どもたちは自分から毎日勉強を始めます。中学生はテスト前の2週間は毎日塾に来て、楽しそうに勉強をします。この光景が噂になり、全国から150名以上の塾経営者が見学に来られました。私は何も特別なことはしていません。」(藤野さん)

――子どものなかに眠っているものを目覚めさせるということか。この機会に、親がしっておくべき子どもの接し方や、科目ごとの対策について覚えておきたい。

尾藤克之
コラムニスト