(B)スーパースペシャル契約(ブルー)

第二は(国有地の売却に先立つ)売買予約権付き10年定借契約の問題(B)です。これは違法ではありませんが、地中ゴミの評価の問題(A)と同様、籠池夫妻(6)の要求に応じて、他に類例がないようなスーパースペシャル契約を締結した件です。これも、昨年2月23日予算委で私が提起した論点です。

籠池夫妻(6)が特例契約を要求する際に名誉校長たる昭恵夫人(2)を利用したために、いわゆる「忖度」が問題になりました。しかし、昨日の参院予算委で総理が「忖度をしたかどうかは、私には正確に本人の気持ちにならなければ答えようがない」と仰った通り、忖度される側に分かるわけがないのです。

ところが総理の答弁は、ここで終わりません。改ざん前の決裁文書(特例承認)には昭恵夫人の名前が出てきますが、全て伝聞であるため、「忖度したかしないかで言えば、この文書のなかにおいて一回も私の妻がお願いをしていることは出ていない」から「それ(忖度していないこと)は明らかでしょう」と。

確かに、そうなんです。昭恵夫人が特別な計らいを求めた形跡はありません。しかし、昭恵夫人が名誉校長だったのは事実なのですから、忖度を否定せず、既に「私ごとについて忖度があってはならないのは当然」と仰っている安倍総理ですから、仮に忖度があったなら、との前提で、謝罪されるべきなのです。

先の衆院予算委に係る野党6党による懲罰動議に対して、一向に謝罪しようとしない私が言っても説得力はないでしょうが、私が党の役職停止になっても維新と日本は前に進みます。しかし、仮に安倍総理が辞任するような事態になれば、日本の国益が著しく棄損するばかりか、その先には、闇しか見えません。

(C)決裁文書の改ざん(レッド)

最期に(昨年2月下旬~4月に行われた)決裁文書の改ざん事件(C)です。もちろん、公文書の改ざんは絶対にあってはなりませんが、私は、改ざん前の決裁文書が真正で、改ざん後の決裁文書は、昭恵夫人(2)の関与を隠蔽するため、といった表面的理解は、印象操作の産物であると断じざるを得ません。

そもそも、公文書だとか決裁文書だとか言っても、個々の起案者は人間であり、文書作成スキルもまちまちです。そして判を重ねる上司たちも、まさか個々の決裁文書が国会で注目されることなど想定して丁寧に校正するわけではありません。日常の役所業務に閣議決定並みの完璧さを求めるなど愚の骨頂です。

自死された近財職員の方は、真面目な方で、一所懸命に経緯を記録したんだと思います。それ自体、悪いことではありませんが、いざ国会で取り上げられるとなれば、佐川局長から見て、看過しがたい記述がたくさん出てきたのでしょう。昭恵夫人に係る伝聞まで紹介していたのは誰が見ても起案者のミスです。

ところが、共産党や立憲民主党は、個別事案を政治的意図から取り上げ、国政調査権というミサイルを個々の決裁文書に発動しようとするものだから、佐川理財局長をして文書改ざんに手を染めさせてしまった。見破れなかった会計検査院もだらしないですが、霞が関自体が迎撃できる態勢になってないのです。

繰り返しますが、公文書の改ざんは絶対にあってはなりません。しかし、文書管理の専門職=アーキビストの育成配置をはじめ公文書管理の仕組みを整備することもなく、NHKテレビ入り予算委で個別案件を取り上げ、財務省幹部を吊るし上げるような愚かな追及を繰り返せば、すべては地下に潜るだけです。

3.森友で「総辞職」は“愚の骨頂”

以上、森友学園の問題を、(A)地中ゴミの評価(イエロー)、(B)スーパースペシャル契約(ブルー)、そして(C)決裁文書の改ざん(レッド)の3つに分けて論点を整理し、私なりの処方箋を示してみました。最も大事なことは、こんな小さなことで安倍政権を倒すような愚かなことにしないことです。

その上で、森友学園事件が不動産鑑定評価と公文書管理の分野に与えた示唆は非常に大きいものがあります。本来、本件は近財が学校法人に国有地を払い下げる極めて日常的な事象の一つに過ぎませんが、不動産の鑑定評価が如何に杜撰か、公文書管理が如何に杜撰に行われているか、を白日の下に晒しました。

この際、安倍政権には第三者委員会を設置いただき、国会も特別委員会を設置し、豊中市の野田地区のみならず全国の国有地払い下げ事案の適正性を再検証すべきです。そして、公文書管理の新しい仕組みと、真に国民に奉仕できる行政を再構築し、日本が直面する内憂外患に立ち向かってまいりたいと存じます。


編集部より:この記事は、衆議院議員・足立康史氏の公式ブログ 2018年3月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は足立氏のブログをご覧ください。