以前市役所で法律相談を受けていた時、相談時間を目いっぱいしゃべりまくり、「それでは対処策を」と切り出すと「もういいです。怒りが消えました」と言って、安らかな顔をして帰っていく相談者がたくさんいた。
離婚訴訟では必ず「陳述書」(結婚生活の状況や離婚に至った経緯を本人もしくは代筆で書く書面)が必要となる。
当初はひどく落ち込んでいた依頼者が「陳述書」を書き終えると、以前よりはるかに精神が安定し元気になるケースがたくさんあった。
不安や心配事を吐き出すと、それだけで元気になるのではないかと私は漠然と考えていた。
昨今読んだ本によると、苦しい経験を直視できないことがストレスになり健康を損ねてしまうしまう可能性があるので、苦しい経験を表面に出して直視するのは快癒に大きな効果があると書かれていた。
非常に個人的で心をかき乱されるような経験(孤独、家族や友人の死)を4日間文章で書く課題を与えられた学生の血液を採取したところ、病気に対する抵抗力が以前よりずいぶん増していたという実験結果がある。
「吐き出効果」なのか「苦しみを直視する効果」なのかわからないが、不安や心配事は表に出してしまう方が心身の健康にプラスになるそうだ。
また、多くのやるべきことを抱えて頭が混乱しているとき、どんどん文字として書き出していくと、頭の中を空白にして軽くする作用があるとも言われている。こちらの方は、残念ながら私には経験値がない。
不安や心配事で悩んでいるときは、頭の中であれこれ考えずどんどん文字化してしまおう。
誰かに見せる必要はない。
単に文字化するだけで、少しでも悩みが解消できたり元気が出たりすれば極めて安価で効果的な治療法と言える。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年3月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。