私は島耕作シリーズが大好きな人材である。全巻持っている。「国際政治学者」の北朝鮮スリーパーセル発言が話題になったが、耕作員なら、ここにいる。娘を書斎に連れてきたら、島耕作シリーズの存在に気づき、大変に関心を持っていた。何かこう、こみ上げてくるものがあった。
島耕作シリーズというか、弘兼憲史作品については好きであるがゆえに、色々言いたいこともあり。ここ数年は雑な作品や、いまいちな企画もあったりした。その度に苦言を呈してきた。そのせいか、少し前には連絡をとりあっていた講談社の担当の方々とも疎遠気味で。弘兼憲史さんと対談するという人生の夢はだいぶ遠のいてしまったか。
しかし、だ。この1年くらいの島耕作シリーズはテコ入れが功を奏したのか、破竹の勢いであり、いまが全盛期ではないのかというくらいの盛り上がりだ。会長編、就活編ともに面白く。樹林伸氏とコラボした『島耕作の事件簿』も傑作だった。あっぱれ!
毎日、指を折り数え、楽しみにしていた最新刊『学生島耕作 就活編』の第二巻が届いた。夢中になって読了。いやあ、面白くなっている。青春時代の甘さと苦さを上手く描ききっている。時代の空気感も。エンタメ性も抜群。学生編は傑作なので、島耕作をどこから読めばいいか迷っている人は、あえてこのシリーズから読むのもありだ。
ややネタバレだが、この最新刊では、島耕作の友人が就活に関して、笑える自己PRのネタ、テクニックを披露している。
俺はこれから世界の五大陸で活躍するが社会では五大力(ごたいりょく)がモノを言う。
ひとつは「体力」
次に「忍耐力」
そして社会に必要な「連帯力」
更に営業なら取引先を相手にする時の「接待力」
最後に本人の「やりたい力」!
この5つだ
激しく胸をうたれた。そうきたか。いや、就活生のこういう笑える自己PRは都市伝説含めて色々ある。私も新卒のころ、P&Gのインターンを受けたのだが「私にとってのP&Gとは、プロレス&ギャンブルでございます!」と言って笑いはとったのだが、不合格になったのだが。
他にも日産を受けた人が「私にとってのGNPとは、がんばれ日産パルサーの略でございます!」とアピールしたとか、サッポロビールの面接では黙る奴がいる(男は黙ってサッポロビール)とか、もろもろ都市伝説はあるのだけど。
これは、「力」でまとめていて、ナイスだな。
就活の自己PRだとか、諸々言い回しも流行り廃りはあって。10年前は自分を「納豆(粘り強い)」「エアコン(環境適応能力抜群)」なんかに例える人をよく見かけたいし、「最初は営業で現場を学びたい」というアピールがよくあったのだけど。今年も、勤務先の教え子はもちろん(全員な)、たくさんの学生のエントリーシートを添削したが(お金とってないんだぞ)、勉強をアピールする人をよく見かけ。あくまで目の前の学生の話だけど、たしかにこの10年で採用活動では学業のことを聞くムーブメントがあったし、大学も忙しくなっており。
さて、10年後、学生たちはどんなアピールをしているのだろうか。
最新作よろしくね!
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。