最も投資リターンの大きいITスキルはタッチタイピング

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

今の時代、会社員でも、起業家でも仕事をする上で「ITスキル」は切っても切り離せないものです。オフィス、デザイン、Web制作、プログラミングなど、どれも重要なITスキルなのですが、身に付けて効果が得られるものは、自分の仕事に関係あるものに限られるのが普通です。しかし、いかなるビジネスをする上でも絶対に役に立ち、尚且つ時間や労力を投資したリターンがとてつもなく大きいITスキルがあります。それはズバリ、「タッチタイピング」です。

今回は「多くの人に見落とされがちな、タッチタイピングのとてつもないメリット」について、お話したいと思います。

過小評価されがちなタッチタイピングスキル

ここまで読んだ方は「完璧なタッチタイピングなど出来なくても、普通にキーボード入力できるなら問題ないのでは?」と言いたくなったのではないでしょうか?その気持ちはよく分かります。私がタッチタイピングの有用性について話した相手から「別にタッチタイピングが出来なくても困っていない。自分は訓練をしてまで速くならなくてもいい。」という答えが返ってきたことがありますから、多くの人はそのように考えることでしょう。タッチタイピングが出来ない人は、そのメリットを過小評価していることが多いのです。

さて、キーボード入力、というのは全てのITスキルの基本中の基本です。プログラミングでも、Web制作でも、デザインでも何をするのでもキーボード入力を必要としないITスキルなんて存在しません。タッチタイピングは全てのITスキルの「根底」にあるものです。プログラミングでも、Web制作でも何をやるにでもキーボード入力は必要ですから、タッチタイピングを極めるということは「その他全てのITスキルアップ」の底上げにつながるわけです。

また、キーボード入力はネット上でコミュニケーションを取るのにも使われます。ブログで記事を書く、メルマガを発行する、取引先やお客様とやり取りするなど、どんな業種でもそれは同じです。私はネットショップとジャーナリストのビジネスをしていますが、お客様からの問い合わせ、取引先との連絡、サイトの文章作成、記事作成、編集者とのコミュニケーションなど、一日の多くの時間をキーボード入力によるコミュニケーションに充てています。

キーボード入力はあまりにも重要であるにも関わらず、世の中でタッチタイピングができる人は意外なほど多くいません。マイナビの調査によると、「タッチタイピングができるビジネスマンは全体の37.0%」とあり、かなり少ない割合です。この割合の小ささは、まだまだ多くの人がタッチタイピングの有用性を過小評価していることの何よりの証明です。

訓練しなければ永遠に出来ないタッチタイピング

まず、知っておいてもらいたいことは、タッチタイピングは「訓練をしなければ身に付かないスキル」ということです。

私は15歳の時にPCの世界に触れ、タッチタイピングが出来るようになったのは18歳の時です。15歳から18歳までの3年間はPCにハマりにハマって、学校が休みの日は10時間以上キーボードに触れていました。その結果、入力速度はまあまあ速くなりました。しかし、やはり我流の入力方法の限界で、いつまでもタッチタイピングができるようにはなりませんでした。

ある時、「このままでは永遠に完全なタッチタイピングができるようにはならない。」と気付き、1ヶ月間、毎日30分~1時間ほど「特打(とくうち)」というタイピングソフトで訓練しました。最初はそれまでの我流の入力法の方が速かったので、フラストレーションを溜めながらタッチタイピングに付き合っていました。しかし、次第に訓練の成果が出てきました。日を追うごとに徐々に入力速度が上がり、そして完全なタッチタイピングができるようになったのです。

タッチタイピングは訓練をしなければ身に付きません。しかし、一度身に付ければ一生役に立つスキルです。ITの世界は栄枯盛衰、プログラミングを見てみれば分かることですが、次々と新しいものが登場し、そして今をときめくスキルも陳腐化していくものです。しかし、キーボード入力は、この先すぐになくなってしまうことはないでしょう。投資価値のあるITスキルであることは明確です。

それでは、いよいよここから「私が考えるタッチタイピングができる事による3つのメリット」をご紹介したいと思います。

1.入力速度が速い

まずタッチタイピングを身に付けることによる1つ目のメリットは「速い」ということです。

筆記は必ずしも速ければ良いとは限りません。限界を超えた速記は文字の丁寧さに欠け、何を書いているのかが後で読みづらくなってしまいます。つまり、手書きで記録を取る場合は、自ずと速度に限界があるということです。

しかし、キーボード入力は違います。キーボード入力が速くても字が汚くなることはありませんから、タイプミスがない限りにおいては「速ければ速いほど大正義」ということになります。日々、ブログやSNSでの情報発信、メールでの問い合わせ回答などでも圧倒的な速度差がつくのは明白です。

筆記速度は人によって大きな差がつくことは少ないですが、キーボード入力なら4倍、5倍の入力速度の差が出ます。この差はそのまま仕事の生産性に直結するのです。例えば同じ文章の出来栄えなら、入力が4倍速い人は、遅い人の4倍の量のアウトプットができるわけです。

入力が速いのは、単にたくさん文章を書くことができるというだけではありません。私はセミナーや打ち合わせの場では、相手の話をリアルタイムにキーボード入力しながらに臨むので、話し合いが終わったら後は少し体裁を整えることで完璧な議事録に仕上がります。改めて文章に起こす時間を設ける必要がありませんから、とても効率的且つスピーディーです。しかし、キーボード入力が遅い人は手書きによる記録や音声録音、動画録画などに頼らざるを得ませんから、その場を離れた後に改めて記録を仕上げる時間が必要となります。タッチタイピングは速ければその分、より生産性が高まるのです。

2.入力疲労がない

タッチタイピングのメリットは速いということの他に、「疲れない」というものがあります。

自己流でのキーボード入力は特定の指に極端に負担をかけ、視線もキーボードとモニターを頻繁に往復するので、とにかく疲労がたまります。タッチタイピングが出来ない人が入力に疲れている間に、タッチタイピングが出来る人は疲れ知らずでガンガンアウトプットができるので、その生産性は雲泥の差となって現れます。タッチタイピングは10本全ての指をまんべんなく使い、ムダな視線移動も少ないので肩こりも抑えることが出来るのです。そして疲れませんから、入力ミスも少なくて済みます。

3.最大のメリットは「脳内の文章をそのまま出力できる」こと

ここまで読み進めて、「なるほど、タッチタイピングができることは速くて疲れないということか。なんか想定通りだったな」と思われたでしょうか?…甘いです。タッチタイピングができることの最大のメリットは、そんなもんじゃないんですよ。気になるその最大のメリットとはズバリ、「脳内に浮かんだ文章をそのまま再現できる」ということです。「タッチタイピングのメリットとは速く入力すること」と思っている人にこそ、この最大のメリットを理解して頂きたいです。

タッチタイピングを身に付ければ、いちいち「キーがどこにある?」ということは一切考えずに済むようになります。頭に浮かんだ文章をそのままプリントアウトするような感覚で、キーボード入力を通じて眼の前のモニターに表示させることができるのです。これこそが、タッチタイピング最大のメリットなのです。

これが出来ないとどうなるでしょうか?キーボード入力がおぼつかない状態では、文章の品質が下がるのです。なぜか?脳内文章の再現性が失われてしまうからです。「えーっとQはどこだっけ?あれ?Zはどこ?」といちいち探しながら打ち、入力ミスの修正をしている間に、せっかく脳内で組み立てた文章はそのまま再現されることなく、いつの間にか崩れてしまいます。キーボード入力が苦手だと、文章の質も落ち、見直しや修正に余計な時間がかかってしまうので、そのデメリットは計り知れません。それがタッチタイピングを極めることで、頭に思い浮かんだ文章をそのままモニターに表示させることができるのです。

タッチタイピングを身に付けることのデメリットは「訓練が必要で、習得に時間を要する」という点を除けば一切ありません。「自分は別にキーボード入力が速くなくていいよ」というのはタッチタイピングの真価を理解できていません。取得には大金は必要ありませんし、身に付けたら即時効果を発揮してくれます。ゼロからプログラミングや動画編集技術を磨くくらいなら、投資対効果のあまりにも大きいタッチタイピングを“その前”に身に付けるべきだと考えます。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。