今年度の国の予算と国債の発行計画を再確認

3月28日に2018年度予算は政府案どおり成立した。昨年12月22日に出された2018年度予算政府案とそれにともなう2018年度の国債発行計画を再確認したい。

2018年度予算案は一般会計の総額で97兆7128億円程度と、2017年度の当初予算を2581億円程度上回り、過去最大となった。歳入のうちの税収は59兆790億円、その他収入は4兆9416億円、公債金(新規国債発行で補われるもの)が33兆6922億円となる。歳出では国債費(国債の利払い償還)が23兆3020億円、一般歳出が58兆8958億円、地方交付税交付金等が15兆5150億円となっている。

新規国債(建設国債と赤字国債)の発行額は33兆6922億円となり、昨年度当初予算からは6776億円の減額となり、三次補正後では1兆8624億円の減額となる。

2018年度の国債総発行額は149兆8856億円となり、これは昨年度当初からは4兆778億円の減額、三次補正後でみると6兆2395億円の減額となる。新規国債が昨年度の当初から6776億円減額され、復興債が5582億円の減額、借換債は2兆8420億円減額される。

国債総発行額の149兆8856億円のうち、入札等で発行されるカレンダーベースの国債発行額は134兆2000億円となる。昨年度当初に比べると7兆円の減額。発行総額とカレンダーベースの差額は個人向け国債発行や日銀乗り換え分となる。個人向け国債については0.05%という最低保証利回りが功を奏して人気化していることで、今年度は3兆3000億円円の発行予定となっている。昨年度当初に比べ3000億円の増加。また日銀乗り換えは2兆5000億円と昨年度の3兆円から5000億円の減額となっている。日銀乗り換えとは、日銀が保有している国債が満期償還を迎えると、1年間に限って現金償還を延長し、現金の代わりに短期国債を発行し、それを日銀が引き受けるというもの。

今年度の前倒債の発行限度額は55兆円(昨年度の56兆円から減額)。前倒債とは借換債の弾力的な発行などを可能にするため、会計年度を越えて発行される借換債のこと。このように限度額が決められているが、その範囲内で金融情勢などに応じた発行が可能となっている。これはいわば何かあっときのバッファーともいうべきもので、何かの事情で国債入札ができなくなった際にもこの範囲内で調整が利くことになる。

カレンダーベースの年限別の国債発行額をみてると、40年債が今年度は4000億円6回と昨年度当初の5000億円6回から減額される。30年債は7000億円が12回と昨年度の8000億円12回から減額。20年債は1.0兆円12回と変わらず、10年債は2.2兆円が12回と昨年度の2.3兆円12回から減額され、5年債は2.0兆円12回と昨年度の2.2兆円12回から減額され、2年債は2.1兆円12回と昨年度の2.2兆円12回から減額される。1年物短期国債も都合2.2兆円減額となる。10年物物価連動国債は変化なし。日銀の大量の国債買入の影響を受けている市場に配慮して流動性供給入札は1.8兆円増額となる。

これらはほぼ国債市場特別参加者会合などでの参加者からの意見を組み入れた格好となる。日銀による大量の国債買入が継続されるなか、国債発行額が減額されることにより、今年度の国債の需給はさらにタイトになることが予想される。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年4月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。