「防衛幹部、警察・海保から」=東京労働局長の免職要求-立憲・枝野氏(時事通信)
立憲民主党の枝野幸男代表は7日、自衛隊イラク派遣部隊の日報問題について「防衛省・自衛隊をつくり直さなければならないぐらい深刻な問題だ。警察庁や海上保安庁から幹部を半分以上、送り込むぐらいのことをやらないと(いけない)」との見解を示した。
いくら野党といってもこういう空理空論、しかも恐ろしい話をいってはいけません。
警察という政治家ですらアンタッチャブルな組織に、警察と自衛隊という国家の暴力装置を任せようというのですから、どこが「立憲」で「民主」なんでしょうかね?
しかも枝野代表は弁護士です。警察が多くの脱法行為を平然と行う。共産党の盗聴事件でも政府がわびても警察はわびませんでした。また代用監獄や冤罪を量産するような不法行為を行う組織です。それは弁護士が一番知っているはずですが、枝野代表はご存じないのでしょうか。
また防衛省、自衛隊の成り立ちにも無知なのでしょう。
そもそも自衛隊は、警察予備隊として発足し、旧陸海軍の将官らをパージして、警察官僚主導の組織として現在までも多くの出向者が出ております。また最近まで警察出身の事務次官もおりました。
最近は徐々に警察官僚の関与が減ってきている状態です。
つまり、今の防衛省、自衛隊の基礎は情報統制も含めて警察官僚が作ったといっていいわけです。
そしてご案内のように警察官僚が支配する警察という組織は法治主義を無視しているところがあります。
枝野代表の主張は政治家ですら統制が難しい、警察官僚に警察と自衛隊という国家の暴力装置を委ねようということであり、文民統制の自殺を意味します。
こういうことを平然と述べる人には、野党党首は勿論、政治家として資質が著しく欠けていると言わざるを得ません。また幹部の半分を入れ替えるというのはただの、例え話でしょうが、それは評論家ならまだしも、野党党首のいうことでではありません。
やるのであれば、問題がある将官佐官クラスをパージして、やる気のある将校を二階級特進でもいいから、地位につける。また自衛隊に見切りをつけて民間にいった将校たちを呼び戻し、これまた高い地位につける。
そのためには徹底的な、情報提供を内部に求めるべきです。誤解を恐れずにいえば、密告を奨励すべきです。
それは期間を区切り、また告発者の身分は守るという条件をつけるべきです。
2割ぐらい将官や佐官が減っても何の問題もありません。人間は余っております。
野党や受けを狙った大衆迎合の小芝居をするべきではありません。
そういう性根が見透かされているから、有権者は先の選挙でも安倍政権に投票したのでしょう。
皮肉なことに安倍政権延命の一番の協力者は無能な野党であります。無能な野党首脳こそ立場を去るべきかと思います。
まあ一方で、民主党政権時代、仙谷長官の暴力装置発言で大騒ぎして自衛隊を暴力装置と呼ぶのはけしからん、
自衛隊様を盲信することこそ文民統制だ、と主張されていた安倍政権中枢部の世耕、丸川、佐藤正久各氏も文民統制を放棄しています。
率直に申し上げれば、政治家がだらしなく、軍部に舐められているといことです。その体制を変えるべき努力を与党も野党もやってこなかったということです。防衛予算だって毎年ろくな審議も行われずに、シャンシャンで通っております。政治家はもっと防衛問題をまともに勉強し、国会で真摯に議論すべきです。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。