終わってしまえば、安倍総理は日本の長年の懸案事項の大半を解消した偉大な仕事師だった、ということになるのだろう。
とにかく、結果だけは出している。
第一次安倍内閣の時代には、防衛庁を防衛省に昇格させ、国民投票法を制定し、憲法改正のための手続法を制定することで憲法改正のための道を開き、さらには教育三法の改正まで実現した。
国家の基本に関わる難しい問題に真正面から挑戦し、それなりに結果を出しているから大変なものである。
一内閣で一つの仕事を仕上げるだけでも評価されるのに、安倍総理はいくつもの懸案事項を自らの内閣で解決してしまっている。
国民的な人気が高かった小泉純一郎氏でさえも手を付けようとしなかったことをとにかく仕上げてしまったのだから、大した仕事師である。
一度政権の座から降りざるを得なかったが、見事に復活した、という意味でも安倍総理は傑出した政治家だと言うことが出来る。再チャレンジを標榜する政治家で、実際に自ら再チャレンジに成功した政治家は、安倍総理以外私は知らない。
第二次安倍内閣発足後の安倍総理の仕事ぶりも見事である。
解釈改憲と言われているが、とにかく集団的自衛権の限定的行使容認を内容とする平和安全法制を実現してしまった。
18歳国民投票権のみならず、18歳選挙権も実現した。
何度も国会に提出しながら廃案になり、事実上お蔵入りになっていたいわゆる共謀罪法案をテロ等準備罪などと名称を改める等相当程度修正して、昨年組織犯罪処罰法の改正を実現している。
天皇の譲位(生前退位)制度も安倍内閣で実現している。
「少なくとも県外」で日本を迷走させた鳩山・ルーピー内閣、東日本大震災による大津波や東京電力福島原子力発電所の爆発事故等で無能ぶりを天下に晒してしまった菅・災厄内閣、さらに政治面で何らの成果を挙げられなかった野田・自滅内閣の時代と比較すれば、安倍内閣が実に大きな仕事をしてきたのは事実である。
振り返ってみれば、安倍総理ほど国家の根幹に関わる難しい問題に果敢に挑戦して結果を出した内閣はない、ということになる。
無理に総裁三選の道を開かなければ、大過なく次にバトンタッチ出来たかも知れないのになあ、というのが、私の現在の正直な感想である。
他に並ぶ人がいないほどの大きな仕事をしてきた安倍内閣だが、もはや限界だろう。
心ある方々は、どうやって安倍総理に最後の花道を飾らせるか、ということをそろそろ考えられた方がいい。
多分、憲法改正の発議がそれになる。
憲法改正の発議が終わるまで、安倍総理は何としても現在の地位に執着されるはずである。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。