保護者との良好な関係づくりへ「教室情景の見える化」を

若くして学級担任を任されて、日々がんばってる方々へ。

教室情景の見える化

学級担任スタート。最初の懇談会も近く、保護者と良好な関係を作りたいと考える時期です。

そんな状況である4月はじめ。しかし、保護者と直接会ったり話したりする機会も時間は極めて少ない。
その結果共有できている情報や情景は、我が子から漏れてくる断片のみ。ごくわずかになります。
この情報の共有の少なさが「不信」を招きやすい。

つまり、

・保護者にとっては学校での子どもや学級の様子がわからない(関心が高いにもかかわらず)。
・教員にとっては家庭での生活や、保護者の願いを知るチャンスが少ない。
・直接コミュニケーションをとる機会と時間が極端に限られている。
・連絡を取り合うのはトラブルが起きた時(マイナス状況)が多くなる。

 

「幸せになってほしい。そのための力を身につけてほしい。成長してほしい」。
実は保護者と教員の願いは大きな方向で一致しています。場所は違えど同じ子の成長に関わっているからです。にもかかわらず、保護者と教員はコミュニケーションをとる機会がほとんどありません。
お互いのことを知らないまま進んでいく学級。

保護者は、子どもからの断片的な話や噂(LINE等々・・)、かつての評判などの少ない情報から学級で起きていることを推測するほかありません。保護者も我が子のクラスへの関心は高い。少ない情報を何とか集めて全体像を想像しようとするのはある意味当たり前のことです。

一方教員にとっても保護者と関係を築く機会がほとんどなく、連絡を取り合うのはトラブルがあったときばかり・・・

これではいい関係を築けるはずもありません。
お互い違う情景をみながらの断片的なコミュニケーション。
同じ子を見ているのに、全く情景を共有していないのが現状です。

そこで、

【まずは学級でのポジティブな情報を保護者に伝えるチャンネルを複数持ちましょう。】
例えば、
・写真や学級通信で様子を伝える
・教室のエピソードを電話や手紙、連絡帳等で伝える
・会って話す機会を設ける
・参観や懇談会で子どもの普段のステキな姿を共有したり、保護者の願いや感想を知る機会を作ったりする。
・授業参加の機会をつくる、一緒に授業を創る    等々。

目的や状況、関心に応じて方法は山ほどあります。

教員は毎日子どもたちを見ていますから、一人一人の成長やかかわり、エピソードを見つけられる立場にいます。
それを様々な方法で保護者に伝えるチャンネルを持ちましょう。

例えば学級通信。授業の様子や子どもたちのエピソードを伝えることで、情景を共有でき「子どもを大切にしてくれている」ということが伝わります。また個人的に電話や手紙、一筆箋などで、その子のポジティブな情報を伝える等々、方法はほんとうにいろいろ考えられます。

複数持つというのがポイント。一つのチャンネルだけでは共有できない可能性もあります。どのチャンネルが自分や保護者とマッチするかもわかりません。いくつかプロトタイプを試してみましょう。

その結果….
子どもや学級の様子が保護者に伝わり、一緒に成長を喜んだり、保護者と担任が子どものことで対話できるようになっていったりして、良好な関係が少しずつ築かれていくはずです。
保護者にとっては、他の誰でもない我が子のことを知りたい!!(親として切実)。

【教室情景の見える化】で保護者とコミュニケーションをとるよいきっかけができるかもしれません。
今の学校では保護者がやれることが少ない。動くならまず学校、教員がきっかけ作りをすることが必要です。

何もせずにいい関係が作れる、なんてことはないのです。
実践やエピソードの発信の先の優先順位圧倒的1位は外部やネットではなく、まずは最も身近で「知りたい!」と思っている保護者です。「保護者対応」なんて失礼な言葉を使ってる場合ではないとぼくは思います。


編集部より:このブログは一般社団法人「軽井沢風越学園」設立準備財団副理事長、岩瀬直樹氏のブログ「いわせんの仕事部屋」2018年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は岩瀬氏のブログをご覧ください。