人口減と自衛隊の定員:女性採用増でなんとかなるのか?

清谷 信一

人口減で女性自衛官の登用が必須?(陸自サイトより:編集部)

先週の週刊東洋経済に「20年後のニッポンの難題」という特集がありました。そこで「女性自衛官が増加」という記事が掲載されていました。

現在自衛隊は定員が24.7万人、充足率が90.8パーセントで、実数が22.4万人です。
これを維持するのは不可能でしょう。

募集対象年齢は1994年のピークで1734万人だったが昨年は1102万人まで低下しています。

しかも高学指向で、高卒者が減り、民間企業の人で不足感があり、募集は苦戦するでしょう。
海上勤務がある海自は特に厳しい。

現在の採用は年1.4万人ですがこれを維持するのは今後更に人口減もあって難しいでしょう。
しかも2020年以降大量採用した人員が大量に退職します。

そこで防衛省は女性の採用を現在の6パーセントから引き上げて2030年度には9パーセント以上にするという目標を掲げています。

女性自衛官を増やすのは一つの手段ですが、それだけでは不十分でしょう。自衛官の約6割を占める陸自を削減することも必要です。最低でも1万人程度は削減すべきです。更に5千人ぐらい減らしてこれを文官に転用して装備調達に。そうすれば給与体系が違うので多少人件費が下がります。更に5千名ぐらいを海自に転籍。

昼間っから銃剣道の選任で棒きれ振り回している連中とか、運動会の練習でかけっこばかりやっている連中は必要無い。また一佐から将官までを減らせば、お付きの秘書官、副官、運転手とかも減らせるでしょう。

また無駄に多い駐屯地や施設を統廃合すればそれでも人員は減らすことができる。地元や政治屋が文句言ってもやらざるを得ないでしょう。

任期制自衛官に関しては任期があけたら一定の数を国家公務員あるいは地方公務員として採用するシステムを作る。さらに任期制自衛官を採用した企業には何らかのインセンティブを与えるべきです。

更に省力化も必要です。兵站などではパワードスーツ導入して現場の人数を減らす。
また、航空機の初等訓練などは外部に委託する。知恵を出せば色々できることがあるでしょう。

海自に関しては、外人部隊も考えていいでしょう。仮想敵国以外の国々から、例えば5年間の年季奉公があけたら日本の永住権がとれるとか、ベネフィットを与える。外国人の兵隊に鉄砲持たせると世論がうるさいとか、亡国の云々と言われるだろうか、釜焚きとか、コックとか、ヘリ整備とかでいいでしょう。これまた真面目に検討すべきじゃないでしょうかね?

自衛隊には当事者意識&能力が欠如しているので、外部の諮問機関を作って、アクションリストを作らせて、それを政治がオーソライズすれば宜しい。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。